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児童クラブ指定管理移行後の視察報告

  • n42yuta930
  • 10月9日
  • 読了時間: 7分


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●はじめに 伊奈町では令和7年4月より、児童クラブ運営を指定管理制度へ移行しました。 この移行については議会においても繰り返し議論が重ねられ、公営の安定性や職員待遇の低下を懸念する反対意見もありました。しかしながら、従来の町直営体制では、町職員が児童クラブ職員の勤怠管理に相当な時間を費やすなど、公営サービスとしての限界を迎えていたことも事実です。私は、民間事業者の専門的な知識や経験、サービスを活かすことで児童クラブ運営に新たな可能性が生まれると考え、指定管理への移行に賛成しました。賛成した議員の責任として、また移行前に指摘されていた問題点の状況を把握するため、令和7年9月26日(金)に指定管理者である株式会社アンフィニが運営する小針北児童クラブの視察を実施しましたので、その内容を報告いたします。 視察の目的 本視察は以下の点を確認することを目的としました。 1.町が提示した仕様書通りに業務が遂行されているか 2.移行前に懸念されていた職員待遇や給与面の状況 3.子どもたちや保護者の満足度 4.町職員の業務負担軽減の実態 5.指定管理者による専門的な運営体制の実効性

視察結果の概要 1. 運営体制と町との連携

株式会社アンフィニの運営体制は、前年度まで町直営だった経緯を生かし、町との良好な連携関係が構築されていました。細かい事例も含めて町と情報共有しながら、最終的には事業者として主体的に判断する体制が確立されています。特に評価すべき点として、人間関係など繊細な課題について町から助言を得ることでトラブル回避につなげている点が挙げられます。報告書類は多いものの、移行初年度として綿密な連携が必要であることを事業者側も理解しており、適切な認識のもとで運営されていると判断しました。 2. 職員体制と待遇改善 移行前に最も懸念されていた職員待遇については、職員の給与が公設時より向上しており、この点は完全に解消されていることが確認できました(町職員からの説明もありました)。これは民間移行のメリットが具体的に表れた重要な成果です。職員の働きやすさについては、シフト作成は従来と変わらない形で実施され、休暇取得についてはクラブごとに差がある状況の様

です。この点は今後の改善課題として継続的な確認が必要と考えます。研修体制については、外部講師を招いた研修を年1〜2回実施するほか、保育コンサルタントによる現場の実際の課題に即した研修も行われており、職員のスキルアップに向けた体制が整備されています。職員の定着については、こまめな巡回により常勤以下の職員の声を聞き、課題に対して迅速に対応する方針が示されており、対話を通じた関係構築が重視されている点は評価できます。

3. 専門的な支援体制の構築民間事業者の専門性を活かした支援体制として、以下のような重層的な体制が構築されていることが確認できました。 統括責任者とコンサルタントの二層体制 統括責任者が各クラブを週1〜2回巡回し、マクロ視点から課題を抽出 ・保育コンサルタントが活動時間に1つのクラブに常駐し、ミクロ視点から問題点を抽出 個別対応の専門性 個別支援が必要な児童については、保育コンサルタントが直接関わりながら現場職員と対応方法を模索する体制が取られています。児童一人ひとりの性格や家庭背景を考慮し、問題行動の背景にある要因を丁寧に分析しながら、クラブの職員と連携して都度対応を考えていく姿勢が示されています。この専門的な支援体制は、公営では実現困難だった部分であり、指定管理移行の大きなメリットといえます。 4. 保護者対応とサービスの質 保護者対応については、でんしょばとでのメッセージ連絡や電話対応を基本とし、重要案件は直接対面で説明する体制が取られています。すべての家庭を公平の観点で見ることを重視しつつ、児童の状態に応じて可能な範囲で個別対応を行うという、バランスの取れた対応方針が示されました。初年度ということもあり、おやつ代・保育料の徴収や減免世帯への対応など、金銭に関わる部分で通達の遅れや修正が生じた点は課題として認識されています。しかし、指摘を受けた部分はその都度協議し、わかりやすく使いやすいように変更するなど、改善に向けた迅速な対応が行われています。

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夏のお弁当提供については好評であり、内容面での改善を図りながら次回の長期休暇に生かす方針です。また、うんどう教室は子どもたちに好評で、さらなる発展を目指しているとのことでした。視察後ですが、保護者の方から直接お話を伺うことができましたが、「移行して良かった」との声をいただくこともできました。特にお弁当に関しては、忙しい時には利用できる安心感があるともお聞きできました。(頑張りすぎなくて良いという心の拠り所的な安心感) 5. 安全管理体制 会社として安全計画や業務継続計画が策定されており、緊急時にはそれに沿った対応を行う体制が整備されています。現場レベルでは各種マニュアルが整備されている一方で、実際に緊急事態が発生した際に冷静な判断ができるかという課題認識のもと、定期的な研修で意識を高めていく方針が示されました。子ども同士のトラブルについては、会社の基礎マニュアルに加えて、クラブごとに異なる課題や問題点に対して保育コンサルタントが現場に入りながら対応を検討し、クラブごとの研修を実施する体制が取られています。 6. 町職員の業務負担軽減

移行により、町職員が従来児童クラブ運営に費やしていた時間が大幅に軽減されていることが確認できました。特に勤怠管理などの日常的な管理業務から解放され、子育て支援課本来の業務に注力できる体制が実現しています。これは指定管理移行の重要な目的の一つであり、その効果が確実に表れていると評価できます。

7. 移行期間としての配慮 初年度ということを踏まえ、備品やおやつの購入など新しい手順については、統括責任者が直接レクチャーするなど丁寧な対応が行われています。また、無理にすべてを変えず今年度は移行期間として位置づけ、活動内容はおおむね継続できるようにするなど、子どもたちや職員への配慮が見られました。職員が選択できる点も民間ならではの運営だと感じました。 視察を終えて 視察を通じて、町が提示した通りに業務が遂行されていると判断でき(口頭にはなりますが)、移行前に懸念されていた職員待遇については給与面で改善が図られている様です。子どもたちは公営時より楽しく過ごすことができている様子で、視察時には笑顔で溢れていました。保護者の満足度も高く、町職員の業務負担も軽減されるなど、現時点では移行は概ね良好に進んでいると判断できます。特に評価すべき点は、民間事業者の専門性を活かした重層的な支援体制が構築され、個別支援が必要な児童への対応や職員の育成において、公営では実現困難だった水準のサービスが提供されていることです。一方で、事業者側からの申出にはなりますが、初年度ということもあり金銭管理の通達の遅れや、クラブごとの休暇取得状況の差など、改善すべき課題も明らかになりました。これらについては、改善に向けた取り組みが進められると思います。 今後の方針 指定管理移行に賛成した立場として、今後も以下の点について継続的に確認していく必要があると考えます。

  1. 職員の定着状況と労働環境の維持

    給与改善が実現した現在の待遇が継続され、職員の定着率が維持されているか

  2. サービスの質の継続的な向上

    初年度の良好な状況が維持されるだけでなく、さらなる向上が図られているか

  3. 保護者や子どもの声の継続的な把握

    満足度が維持されているか、新たな課題が発生していないか

  4. 町との連携体制の継続

    移行初年度の綿密な連携が、今後も適切に維持されているか

  5. 財政面での持続可能性

    適正な運営コストで質の高いサービスが継続的に提供されているか

指定管理制度の成否は、移行直後だけでなく中長期的な運営の質によって判断されるべきです。今回の視察で確認できた良好な状況が継続されるよう、議会として、適切な監視機能を果たしていくことが重要であると考えます。現時点では、(賛成した議員の1人としての判断にはなりますが、)民間の専門性を生かした運営により、公営時よりも質の高いサービスが提供されていることが確認でき、移行の判断は適切であったと評価します。今後も子どもたちの笑顔が溢れる児童クラブであり続けるよう、継続的に注視してまいります。機会をつくり別の児童クラブ状況も視察したいと考えております。また、時間が許すならば、児童クラブ職員の方とも状況を確認できる時間がいただけると幸いです。

仲島ゆうた 日本維新の会・伊奈町議会議員

©2023 仲島ゆうた 日本維新の会・伊奈町議会議員

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