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令和8年度 国民健康保険関連議案の審議を通じて見えた課題と今後の方向性

  • 2 日前
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本定例会において審議された第15号議案(令和8年度伊奈町国民健康保険特別会計予算)および第24号議案(国民健康保険税条例の一部改正)は、単なる税率改定にとどまらず、本町の財政運営と社会保障制度の持続性に直結する極めて重要な議案でありました。

委員会等が行われる全員協議会室 出典:いなナビ
委員会等が行われる全員協議会室 出典:いなナビ

まず、審議過程において特筆すべきは、予算特別委員会において予算案が否決された一方で、その根拠となる条例案が常任委員会で可決されたという、いわゆる判断のねじれが生じた点であります。この背景については、執行部からも「条例審議前に予算審議が先行したことにより、委員に判断の迷いが生じた」との認識が示されております 。

本来、税率という前提条件が確定して初めて予算の妥当性を判断できるにもかかわらず、前例に基づく議事運営により順序が逆転したことは、議会の意思決定の質に直接影響を与えたと考えます。この点は、単なる運営上の問題ではなく、 議会機能の根幹に関わる構造的課題として認識すべきです。

 一方で、本会議においては両議案とも可決されました。採決結果を見ても賛否が分かれていることからも 、本件が極めて判断の難しい案件であったことは明らかです。

では、なぜ最終的に可決という判断に至ったのか。この点については、制度構造と財政リスクの観点から整理する必要があります。

第一に、国民健康保険は「医療費の増加がそのまま財政悪化に直結する構造」を持っています。実際に、加入者数は減少傾向にある一方で、1人当たり医療費は上昇しており、税収基盤は相対的に弱体化しています 。この構造は、将来的に保険税の上昇圧力が継続することを意味します。

第二に、負担増を回避した場合の影響です。仮に税率改定を見送った場合、不足財源は県の財政安定化基金から借入れることとなり、その返済は翌々年度以降3年間にわたり保険税へ上乗せされます 。この仕組みは、短期的な負担軽減が中長期的にはより急激な負担増を招く構造となっており、結果として本町のみが高い税率を強いられる可能性があります。

第三に、制度変更に伴う外生的コストの増加です。今回の改正では、新たに子ども・子育て支援納付金が導入されており、制度維持のための新たな財政負担が発生しています 。これは自治体の裁量によらず発生する費用であり、今後も同様の制度改正リスクは継続すると考えるべきです。

以上を総合的に判断した結果、私は「負担増を伴うとしても制度の持続性を優先すべき」との立場から賛成いたしました。

 しかしながら、この判断は現状を肯定するものではありません。むしろ、現行制度の限界を前提とした上で、今後どのように持続可能性を確保していくかが本質的な課題であると認識しています。

その具体的方向性として、私は「医療費の適正化に資する政策の強化」が不可欠であると考えます。実際、本予算には特定健康診査受診勧奨や重症化予防といった保健事業が計上されており、これは財政面から見ても合理的な投資です 。医療費抑制は単なるコスト削減ではなく、住民の健康寿命延伸と一体で進めるべき政策領域です。

加えて、今後はフレイル予防を含めた地域包括的な健康施策の再構築が必要です。単なる受診率向上にとどまらず、生活習慣、社会参加、地域資源を組み合わせた総合的な健康政策へと発展させることが求められます。


議会控室 出典:いなナビ
議会控室 出典:いなナビ

また、今回の審議を通じて明らかとなったもう一つの重要な論点は、議会運営そのものの改善です。議案審議の順序、資料提供のタイミング、議員の調査時間の確保といった基盤が不十分であれば、どれほど重要な議案であっても適切な判断は困難となります。

私は今後、政策提案と並行して、議会の意思決定プロセスそのものの質を高める取り組みを進めてまいります。

最後に、私は難病の当事者として、医療制度が持つ意味を単なる制度論ではなく「生活そのもの」として捉えています。国民皆保険制度は、誰もが必要な医療にアクセスできる社会を支える最後の基盤です。この制度を将来にわたって維持するために、負担と給付のバランスをいかに適切に設計するかは、私たち議会の責任そのものであります。

今後も、短期的な負担と中長期的な持続性の双方を見据え、町民の皆様に対して説明可能な政策判断を積み重ねてまいります。


仲島ゆうた 日本維新の会・伊奈町議会議員

©2023 仲島ゆうた 日本維新の会・伊奈町議会議員

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