伊奈町の財政について ~その1~
- n42yuta930
- 1月7日
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更新日:1月13日
私たちの暮らしている伊奈町の公共サービスや財政(お金)の仕組みを理解し、知見を深め、その知識を地域のために使うことが、公約で掲げている「ムダづかい削減」に繋がると考えております。そのため、自治体財政について勉強を進めております。
その学びから得た内容や問題点等を町民の皆さまと共有することが、将来にわたり安心・安全に暮らせる町づくりに繋がると考えております。そのため、公式HPを活用し共有させていただく運びとさせていただきました。(財政関連の内容においては、あくまでも私個人としての考えや着眼すべき点であることは、ご承知おきください。)
私なりにどの様な形で自治体財政を学ぶべきか試行錯誤しました。その結果、伊奈町の財政全体を把握するには「決算カード」を活用し、ポイントとなる項目を深掘りしながら、それぞれの関連性を調べて行く方法が良いと判断しました。
決算カードは、総務省が各年度に実施した地方財政状況調査の集計結果に基づき、各都道府県・市町村ごとの普通会計歳入・歳出決算額、各種財政指標等の状況について、団体(自治体)ごとに1枚のカード(用紙に)に取りまとめたものです。尚、この決算カードは、総務省HPからダウンロードできます。(https://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/card-23.html)
また、埼玉県HPからも確認することが可能です。決算カードですが、総務省が作成している関係で集計等々の関係からタイムリーに公表されない欠点があります。ただ、町で行われる決算特別委員会時には、決算カードに近い資料の提示は行われます。(令和5年の決算カードは、令和7年1月6日時点でも公表されておりません。)
※決算カードは、あくまでも対象年度の財政状況結果を示すものです。

令和4年 伊奈町決算カード
誰もが、住む町や地域を良くしたいと考えるので「教育充実を図りたい」「福祉に力を入れたい」「道路整備を進めて欲しい」等、生活に直接関係する要望や関心は高いはずです。私自身も同様です。これは、当然のことだと思います。公共サービスや公共事業を拡充したり、新たにはじめることは、支出(歳出)を増やすことに関係します。しかし、支出を増やす、言い換えれば公共サービスや公共事業の拡充等を進めるには、それに見合う収入(歳入)が必要になります。歳入と歳出のバランスをしっかりチェック(監視)することが重要です。このバランスが崩れ「赤字団体」の状況が継続すると、(過去の)夕張市の様な「財政破綻」となってしまいます。
さて、自治体は、一般的な企業とは異なり収益を上げ(黒字を)続ける必要は無いと考えます。ただ、前述した様に赤字を継続すると破綻に繋がり、福祉(公共)サービスを行うことができなくなります。再度申し上げますが、やはりそのバランスが自治体財政運営には、必要不可欠です。(黒字と赤字を繰り返すのが理想。公共福祉サービスに注力すれば赤字となります。赤字となった際は、健全経営を行い黒字となる様に管理をする。)
自治体財政運営において「決算上赤字にしてはならない」というルールがあります。(町政報告レポートVol.4にも記載してあります。)「赤字」にしないのは、一般企業でも同じ考え方です。企業では、経営状況によっては決算で赤字となる場合はあるはずです。この点が、自治体財政と一般企業の違いと感じています。(損益計算上の売上総利益が赤字や営業利益が赤字、経常利益が赤字、税引前当期純利益が赤字、当期純利益が赤字等がある。)
決算カードには、判断基準となる数字(実績)や指標があります。これらは、どの部分に注目・注視すれば良いのでしょうか。また、伊奈町をはじめとする全国自治体では、どの程度が赤字となっているのでしょうか。
一般的に「黒字団体」、「赤字団体」の判断に用いられる数字(実績)として実質収支(歳入決算総額から歳出決算総額を単純に差引いた額から、翌年度へ繰り越すべき財源を差し引いた額)があります。その数字(実績)を活用し確認してみます。抽出データは、総務省「地方財政の状況(令和6年3月)」活用してみます。
下記は、そこから出典した資料になります。

令和4年度においては、市町村で2団体だけです。それ以外の年度においても全国の自治体の殆どが、黒字運営となっています。一般的な財政関係の資料等で表記される自治体数は、都道府県47、市町村は1718です。この数字だけを見ると優秀な財政運営が行われていると判断できます。職員の皆さまが、様々な運用方法や手段を講じ黒字化しているのではないでしょうか。この結果から我々の市町村は「黒字となっているので、健全に運用しています。」と謳っているのかも知れません。この結果と実際の自治体財政状況に違和感を感じた方もいるはずです。(伊奈町の執行部は、「お金がない」とよくコメントしています・・・)
この違和感から本当に全国の自治体が、黒字化となっているか状況を確認する必要があると考えました。では、どこの数字(実績)を活用するのが良いでしょうか。決算カードの右上に「財政収支状況」という部分があります。ここに記載されている数字(実績)に注目してみます。
伊奈町決算カード令和4年より抜粋▼
出典:総務省 令和4年度市町村決算カード https://www.soumu.go.jp/main_content/000937053.pdf

この部分で実質収支以外に「収支」と付くのは、「単年度収支」と「実質単年度収支」があります。この2種類の数字(実績)を活用し、全国の自治体状況を確認します。(それ以外の文言は、今後、順番にお伝えしたいと思います。)
単年度収支とは、実質収支は前年度以前からの収支の累積であるので、その影響を控除した単年度の収支のこと。具体的には、当該年度における実質収支から前年度の実質収支を差し引いた額。
実質単年度収支とは、単年度収支から、実質的な黒字要素(財政調整基金への積立額及び地方債の繰上償還額)を加え、赤字要素(財政調整基金の取崩し額)を差し引いた額。
この2つの収支の内容から判断すると、「実質単年度収支」の方が、本来の自治体運営に重要となる数字(実績)であることが想像できます。

上記は、実質収支の際に活用した総務省「地方財政の状況(令和6年3月)」から出典した資料になります。(特例区と一部事務組合は、本来の実績からは除かれるので市町村数は、1718団体となります。)
実質収支では2団体しか赤字がありませんでしたが、単年度収支、実質単年度収支では、驚くほど赤字の団体があります。この資料から解るように1つの数字(実績)判断では、本来の適正な自治体財政状況がわからない事が明確になりました。視点を変えて判断する必要があると私は考えます。因みに私が、注視しているのは「実質単年度収支」です。
まとめ
町の財政状況を把握する手段は、様々あると考えます。私は、決算カードを活用していきます。 せっかくの機会です。町民の皆さまも今まで以上に伊奈町の財政に関心を持っていただき、より良いまちづくりに関わっていただけると幸いです。私も知識を更に深め、町政運営に刺激を与えて行きたいと存じます。

