令和6年12月定例会 一般質問(個人)
- n42yuta930
- 2024年12月23日
- 読了時間: 32分
更新日:4月28日
【伊奈町議会】 令和6年12月定例会 一般質問について
・一般質問にて取り上げた内容を記載します。
※伊奈町議会は、一問一答式となっております。議員は、通告した最初の質問主題の要旨1項 目を登壇して質問した後、 その質問項目について執行部が答弁を行います。その後、議員は自席で1つの質問項目ごとに質問し、執行部が答弁を 進めて行きます。時間は、質問及び答弁を含め75分です。
・ここでは、議場で読み上げる為の原稿(読み原稿)を記載しております。
実際の質問の場で は、若干その場で言い回しは変えている箇所もございます。その点 に関しては、ご容赦 ください。
・正式な発言等は、「伊奈町HP 町議会:議会検索」よりご確認ください。
導入
この定例会では、子ども達の健やかな成長のためにと言う視点で共同親権に関する内容 と、昨今、社会問題化しているカスタマーハラスメントに対しての取組について取り上げさせていただきます。
さて、秋には数多くのイベントがあり、町内には多くの笑顔があふれていました。特に各小中学校の運動会や秋バラ祭り、商工会が主催した商工フェスティバルは、子供たちの笑顔や歓声で保護者の皆さまだけではなく、大人達も様々な面で心癒されたと思います。子ども達は、伊奈町にとって大切な宝、財産であることを改めて認識しました。その子ども達を我々、大人達がしっかり支え、守っていく必要があると考えます。その為には、子ども達に与えられている権利を大人がしっかり理解することが先ずは重要であると考えております。
令和5年9月定例会において、離婚による貧困と親権についての関係性から共同親権について説明し、見解を示させていただきました。この定例会では、町長をはじめ執行部の皆さまに共同親権の全体像を知っていただくこと。伊奈町でも優先すべき子ども達の最大の利益が阻害されている事実があることを知り、町がこの事実から目を背けず、どの様に支援すべきかを考える切っ掛けとしていただきたいと存じます。
●子ども達の健やかな成長のためにできること
【質問:仲島】
それでは、大項目1として「子ども達の健やかな成長のためにできること」について質問いたします。
要旨1. 子どもに関する条例が制定されていない町としては、子どもの権利条約等につい て保護者や大人達にどの様に啓発していくのか、現状と今後についての説明を。
要旨2. 町の離婚率及びその年齢層の状況について伺う。
要旨3. 町のひとり親世帯数及び母子、父子世帯数について伺う。
要旨4. 別居・離婚により会えなくなってしまった親子が交流する機会の提供、面会交流 の支援についての町の考えを。
要旨5. 子どもの利益を最優先と考えるならば、夫婦不仲、離婚に関する相談窓口設置に ついての町の見解を伺う。
要旨6. 町の小・中学校過去3年間の転出入数を伺う。
要旨7. 保育所、幼稚園、小・中学校における転入・転出時、保護者2名とした書式を変 更することはできないか。
【答弁】
要旨1について. 答弁者:企画総務統括監
仲島議員のご質問の、「1.子ども達の健やかな成長のためにできること」についてのうち、所管事項につきまして順次お答 えを申し上げます。はじめに「1.子どもに関する条例が制定されていない町としては、子どもの権利条約等について保護者や大人達にどの様に啓発していくのか現状と今後について説明を。」でございますが、子どもの権利条約等の啓発につきましては、町広報誌において毎年掲載し、周知に努めております。今後におきましては、条約の基本的な4つの原則以外の子どもの権利も含め、人権に係る研修会や町などが 開催するイベント時などで更に啓発を推進してまいりたいと考えております。
要旨2及び要旨3について. 答弁者:健康福祉統括監
仲島議員のご質問の「1.子ども達の健やかな成長のためにできること」のうち、所管事項につきまして、順次お答えを申し上げます。はじめに「2.町の離婚率及びその年齢層の状況について伺う」と「3.町のひとり親世帯数及び母子、父子世帯数について伺う」は、関連がございますので一括してお答えを申し上げます。議員ご質問の「離婚率及びその年齢層」及び「ひとり親世帯数及び母子、父子世帯数」につきましては、数値を持ち合わせてございませんので、国や県などの統計資料に基づき、お答え申し上げます。
先ず、町の離婚の状況につきましては、「令和5年埼玉県の人口動態概況」によりますと、離婚率1.53、離婚数は69組となっております。また、離婚の年齢層につきましは、厚生労働省の人口動態特殊統計で示される「令和4年度離婚に関する統計」によりますと、市町村に関する数値は公表されておりませんでしたが、埼玉県全体の数値がございましたのでその数値を申し上げます。夫の届出年齢として一番多い世代は、35歳から39歳で1,603人、割合として15.04%、次に多いのは40歳から44歳で1,586人、割合として14.88%、次に45歳から49歳で1,566人、割合として14.69%となっております。次に妻の届出年齢につきましては、一番多い年齢層は、35歳から39歳で1,561人、割合として15.49%、次いで多いのは、30歳から34歳で1,595人、割合として14.96%、次に40歳から44歳で1,580人、割合として14.82%となっております。
次に、ひとり親世帯数及び母子・父子の世帯数でございますが、埼玉県より提供されます、主にひとり親に対して経済的支援を行う児童扶養手当の受給者数をもとにお答えいたします。令和6年10月現在、町のひとり親世帯は、251世帯でうち母子世帯は242世帯、父子世帯は9世帯となっております。なお、児童扶養手当は所得制限が設けられており、申請者等の所得により児童扶養手当を受給することができない方もいらっしゃいますので実数はこの数字より多いものでございます。
要旨4について. 答弁者:企画総務統括監
次に、「4.別居・離婚により会えなくなってしまった親子が交流する機会の提供、面会交流の支援についての町の考え を。」でございますが、 埼玉県や他の一部自治体では、議員ご提案の面会交流について、支援を始めたところもあるようでございます。今後、面会交流を実施した自治体での状況を伺いながら、研究してまいりたいと存じます。
要旨5について. 答弁者:企画総務統括監
次に、「5.子どもの利益を最優先と考えるならば、夫婦不仲、離婚に関する相談窓口設置についての町の見解を伺う。」で ございますが、町では現在、町民のみなさまの身近な相談窓口として、「人権相談」や「女性相談」、「法律相談」等の機会を定期的に実施しております。これらの相談の中で、専門の相談員によって、一人ひとりの環境や状況に沿った相談をご案内し、さらなる支援に繋げてまいります。
要旨6及び7について. 答弁者:教育次長
仲島議員のご質問の「1.子どもたちの 健やかな成長のためにできること」のうち、 所管事項につきまして、順次お答えを申し上げます。はじめに「6.町の小・中学校過去3年間の転出入数を伺う。」でございますが、令和3年度は、転出20名、転入27名、令和4年度は、転出26名、転入40名、令和5年度は、転出14名、転入39名となっております。
次に、「7.保育所、幼稚園、小・中学 校における転入・転出時、保護者2名とした書式を変更することはできないか。」でございますが、小・中学校につきましては転入時においては、住民異動票をもとに教育委員会の窓口に訪れた保護者に入学届を提出していただいております。 所定の入学届に保護者氏名を記入していただきますが、人数の指定はございませ ん。 現状多くの場合、1名の方が記入されております。入学届の保護者氏名欄を保護者2名とした書式に変更することにつきましては、現在も2名記入することは可能ではございますが、2名とすることは、様々な問題が想定されますので、様々な状況を考え、 国、県の動向を注視しながら、慎重に調査研究してまいります。なお、転出時においては、保護者が当該学校へ転出する旨を連絡し、学校が転出に係る手続きを進めており、教育委員会では、転出に係る書類の提出を求めておりません。
要旨7について. 答弁者:健康福祉統括監
次に、「7.保育所、幼稚園、小・中学校における転入・転出時、保護者2名とした様式を変更することはできないか。」のなかの所管事項についてお答え申し上げます。保育施設に入所、退所をする際は、保護者の方に所定の様式により届出をしていただいております。この様式を定めております「伊奈町保育の必要性の認定及び保育の利用に関する規則」において、保護者の人数に対する定めはございませんが、多くの保護者の方が保護者いずれか一名の記入によりご提出いただいております。また、町内の私立幼稚園に確認したところ、町と同様の状況であると伺っております。保護者2名とした様式の変更につきましては、都内の一部の自治体において採用されていることは承知しております。今後、こどもの健全育成、こどもの利益の確保の観点から、先進自治体の状況、近隣市町、国県の動向を注視してまいります。
【再質問:仲島】
まず、要旨1に関してです。先ずは、大前提となる部分の再質問いたします。
保護者の定義についてわかりやすく説明をお願いいたします。また、子どもがいる婚姻関係の男女の場合、保護者は父親か母親のどちらになるのかを説明ください。
【答弁】答弁者:企画総務統括監
保護者の定義につきましては、児童福祉法によると第6条で小児慢性特定疾病児童等の保護者等を除き、親権を行う 者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護する者と定めております。子どもがいる婚姻関係にある男女の場合の保 護者につきましては、先ほどの児童福祉法の定義にある「親権を行う者」とあるため、町といたしましては、父親も母親も保 護者であると解釈しております。
【要旨1についての確認等:仲島】
重要となる保護者について確認できました。ご存知とは思いますが、共同親権について簡単に確認します。共同親権とは、離婚後も父母双方が子どもの親権を保持し、協力して子どもの養育や監護を行う制度です。これは現行の単独親権制度とは異なり、父母両方が親権を持つ、子どもの重要事項について両親で決定する、日常的な事項は同居親が判断できるという特徴があります。
この共同親権を加えた改正民法が、2024年5月17日に参議院本会議で可決・成立しました。これを受けて、共同親権は2026年までに施行される運びとなっています。しかし、まだまだ課題がある様です。
その共同親権のメリットとして両親が子育てに関与できる、子どもが両親との関係を維持しやすい、親権争いの回避、面会交流や養育費支払いがスムーズになる可能性があると言われています。
この制度は、離婚後も両親が協力して子育てに関わることを可能にし、子どもの利益を守ることを目的としています。最も重要なのは、どの様な形にせよ「子どもの意志や最善の利益を守る」と言う点でございます。さて、皆さまは子どもの権利条約についてどこまでご存知でしょうか。
日本ユニセフ協会のHPには、子どもの権利条約についての考え方が記載されています。権利条約は、子どもは「弱くて大人から守られる存在」という考え方から、子どもも「ひとりの人間として権利を持っている」、つまり、「権利の主体」だという考え方になっています。子どもを権利の主体ととらえ、大人と同様にひとりの人間として持つ様々な権利を認めると同時に、成長の過程にあって、保護や配慮が必要な子どもならではの権利も定めているというのが、子ども権利条約の特徴です。子どもは生まれながらに権利を持っており、それは、義務と引き換えに与えられるものではなく、また、何かをしないと取り上げられるものでもありません。
子どもの権利条約においては、子どもが「権利の保有者」であり、それを守る「義務の担い手」は、国です。国は、法律や政策などを通じて、条約に定められた子どもの権利の実現につとめます。また、条約には、子どもを育てる責任はまず親にあり、国がそれを支援するということも書かれています。子どもの権利条約は、前文と54条の条文から成り立っており、日本ユニセフ協会では、具体的な権利を定めた第1条「子どもの定義」から第40条「子どもに関する司法」を公開しています。
子どもの権利条約第9条は、子どもが両親と定期的に交流を持つ権利を守ることを目指しています。日本の単独親権制度はこれに矛盾していると指摘されています。多くの国が共同親権制度を採用している中、日本でも法改正が求められており、それらの事もあり改正民法へと結びつきました。この法案が施行されれば、親権を持たない親も子どもと定期的に会える環境が整い、親子断絶の改善が期待されています。
【要旨2についての確認等:仲島】
離婚率についての確認とそれに付随する内容について補足します。日本では、父母のどちらか一方のみが親権を持つ単独親権制度が採用されています。協議離婚の場合は父母の協議で、裁判離婚の場合は裁判所が親権者を決定します。親権獲得割合の状況に関するデーターをご紹介します。グラフは、厚生労働省「2023年人口動態調査 親権を行う子を持つ夫婦の親権を行う数・親権者別にみた年次別離婚件数」を加工したものです。

2023年で見てみますと、数字からも解かる様に母親が親権者となるケースが、子どもの人数に関係なく約83.0%を越えており、父親が親権者となるケースは約10.0%程度。この数字から、母親が親権者となる傾向だと解ります。極端な差は、裁判所が親権者を判断する際の「原則」によるものです。原則には、継続性、母性優先、子の意思の尊重、きょうだい不分離、面会交流に対する寛容性があります。その原則でも、特に、「継続性」が重視されます。継続性とは、子どもの生活環境を極力変えず、現状維持する考え方です。離婚の理由についても少し触れてみます。2023年司法統計年報・家事編によると、離婚調停申し立て理由男女ともに、もっとも多かった離婚理由は、性格が合わない(所謂、性格の不一致)となっています。ちなみに夫は59.9%、妻は38.0%となっています。

性格の不一致が原因で離婚した場合、子どもにはさまざまな心理的・社会的な影響が及ぶ可能性があると言われています。これらの影響は、離婚後の親の対応や家庭環境、子どもの年齢や性格などによっても異なります。心理的な影響では、不安やストレス、自責感、孤独感があります。離婚の原因が、自分にあると誤解したり、親の片方と過ごす時間が減るため愛情不足や孤独感を抱くことがあり、親との関係性が断絶する場合は、特に心理的な影響が大きいと言われています。社会的影響では、特に経済的な影響が大きく離婚後に家庭の収入が減少することが多く、経済的不安定さが生活環境や教育に影響を及ぼすとされています。
【要旨3についての確認等:仲島】
ひとり親世帯についての現状について取り上げました。そして「連れ去り」の現状問題点を示します。残念ながら、町としての正確なデ-ターを持ち合わせていないとのことでした。国全体のデーターを紹介いたします。厚生労働省「2021年度全国ひとり親世帯等調査」の結果から注目すべき状況をお伝えします。母子世帯数は119.5万世帯、父子世帯数は14.9 万世帯となっています。母子世帯になった理由は、「死別」が5.3 %、離婚などの「生別」が93.5 %となっています。 父子世帯になった理由は、「死別」が21.3 %、「生別」が77.2 %となっています。ひとり親となる多くが、離婚などの生別れが原因であることがわかるデーターです。
婚姻関係の3組に1組が離婚する現代社会。離婚をきっかけとして、様々な問題が生じている事は、ご存知かと思います。中でも、問題としてあげられているのが、親子断絶。所謂「連れ去り」です。この親子断絶は、現行法である単独親権制度が断絶を助長しているとも言われています。親権を失った側の親が子どもと会えなくなる事例が多く、親子断絶の問題が深刻化しています。帰宅すると妻と子供がいない。若しくは、夫と子供がいない。その時の気持ちは、当事者にしか解りません。片親が知らないところで、もう片親が、子どもを連れ去ってしまう。離婚の理由が、DVなどの暴力ならば話は変わります。先程紹介した司法統計によればDVなどの暴力は、夫が8.7%、妻が18.5%となっています。ごく一部です。
「連れ去り」の問題点は、連れ去られた事を警察に相談しても民事不介入という姿勢から取り扱ってもらえず、所謂、泣き寝入りをするしかない点です。しかし、その連れ去られから連れ戻しを行う場合は、未成年略取誘拐等の犯罪となります。ニュース等でも取り上げられることもあり、ご存知かも知れません。
親子が会えなくなってしまうのは、別居親を嫌悪する同居親の強い意思によるものからくるものかも知れません。優先すべきは、子の利益です。子ども権利条約第9条に「親と引き離されない権利」として記されています。
私が、要旨1で、保護者や大人達に対しての啓発の必要性を唱えたのは、ここに繋がります。自分の子供だから何をしても良い訳ではありません。日本は、1994年に子ども権利条約に批准しているのです。
婚姻関係に関わらず、それぞれの親から愛されていると感じることにより、安心感や自己肯定感を始めとする多くの心の豊かさを育まれると考えます。子どもに会えないのは、片親だけではありません。その両親、子どもにとってのおじいちゃんやおばあちゃんにも会えないのです。「自分が死ぬまでに孫に1度で良いから会いたい」と辛さを涙ながらに語ってくれた住民のおばあちゃんにもお会いしました。
【再質問:仲島】
1994年に子ども権利条約に批准している日本ですが、この「連れ去り」に対してどの様に考え、町として何ができると考えますか。
【答弁】答弁者:企画総務統括監
「子どもの権利条約」の第9条には、「児童がその父母の意思に反して、その父母から分離されないことを確保する」と謳うたわれており、子どもは親と引き離されない権利があるとされております。 例えば、夫婦が離婚する前に、夫婦の一方が勝手に子どもを連れて家から出ていく、いわゆる「連れ去り」が違法の可能性があるか、問題となっております。このようなことは、未成熟な子どもの健全な成長発達に悪影響を及ぼす可能性がございます。町といたしましては、子どもの権利を守るため、「子どもの権利条約」を始めとした関連法令等について、あらゆる機会を捉え、保護者を含め、幅広く啓発を図ってまいります。
【答弁に対しての意見等:仲島】
常に考えるべきは、子どもに対しての最善の利益ですし、意志をしっかり尊重すべきだと私は考えております。
【要旨4及び5についての確認等:仲島】
ここでは、面会交流、最近は親子交流と言います。その親子交流の機会作成と相談窓口設置についての見解等を確認いたしました。親の性格の不一致からくる離婚は、多くの子どもにとっては望ましくないのはご理解いただけるはずです。何度も申し上げますが、DV、虐待がある場合は、この限りではありません。
両親の不仲の多くは、お互いが歩み寄ろうとせず、不寛容な姿勢を変えないことで起きているのではないでしょうか。昨今、いかに相手の干渉を遮断し、金銭面で有利に離婚するかといったセミナーも自治体主導で開かれているのを目にすることもあります。優先されるべきは、子ども達の気持ちへの配慮で、親の立場に対するエゴではありません。子どもの利益という観点からすれば、むしろ開かれるべきは、両親が破局に至る前の段階で夫婦関係の再構築を主眼とする行政としての支援だと考えます。「夫婦間の問題だから関与できない」というスタンスは、過去世代の話しです。家族構成が変化している令和の時代です。やはり、中立的な立場での相談窓口が必要ではないでしょうか。実際に子どもに会えなくなった父親からお聞きした内容です。「夫婦間では、平行線のままです。そもそも不仲の状態なので2人で話ができる環境ではない。」特に心理的な専門家が関われることがあれば、更に問題点等の解消につながるかと存じます。
現在ある町の支援制度についてもっと活用いただける様な啓発方法を見出し、町民の皆さまに寄り添った運用を検討願います。それでは、再質問で確認させていただきます。
【再質問:仲島】
令和5年7月から埼玉県面会交流支援事業が実施されておりますが、なぜ、県はこの様な事業を開始したとお考えになりますか。
【答弁】答弁者:企画総務統括監
埼玉県に伺ったところ、兼ねてより、ひとり親家庭の現在養育している保護者へ元配偶者より、養育費等が支払われない事案が増えており、社会問題となっております。このような状況の中、東京都などの先進事例を参考にし、国の母子家庭等対策総合支援事業費補助金を活用し、当該事業を開始したと伺っております。
【答弁に対しての意見等:仲島】
養育費の未払い問題は、子ども達の将来を左右すると言っても過言ではない事柄です。その実施要項の第1としての目的には、離婚により父母が離れて暮らすことになっても、別居親と子どもが会ったり、電話や手紙等で定期的・継続的に交流を保つことは、子どもの生活や精神面の安定をもたらし、子どもの健やかな成長にとって有意義である。また、別居親にとっても、子どもとの交流により子どもの成長を見守ることは、実親としての養育の責務を果たすことにも繋がり、更には、子どもの養育費を支払う意欲にもつながることになると記されています。端的に言えば、面会交流は、子どもや親にとっても重要だと記されています。会いたい親にも会えず涙を流している子どもや子どもに会えず悩み苦しむ親の為にも積極的に面会交流ができる様なスペースを新庁舎には導入ください。何が重要なのかを見極め、中立的な立場として交流の場を是非、提供ください。大島町長のご判断に多くの共同親権で苦しんでいる方が注目しています。
【要旨6及び7についての確認等:仲島】
日本では、婚姻関係にある場合、原則として両親が共同で親権を有しています。その為、進路や生活環境に関わる決定は、両親の合意が必要とされます。保護者欄が1名分しかないと、もう一方の親が決定プロセスから排除される可能性があります。特に離婚や別居中のケースでは、一方の親がもう一方の親に無断で退所届を提出することも可能となり、不公平感やトラブルを引き起こすリスクがあります。
進学や教育環境の変更は、心理的・社会的な影響を伴う重要な問題です。こうした決定に両親が関与しない場合、子どもの利益が損なわれる可能性を指摘させていただきました。
要旨1の再質問では「父親も母親も保護者であると解釈している」と答弁がありました。また、帳票関係の人数指定は無いとの答弁も得ています。その事を鑑みると、町の現状は矛盾しています。記入欄が1名しかない場合は、状況や事例により変化しますが、法律等に抵触する可能性が幾つかあると私は考えました。
1.民法第818条・・・親権は、父母が共同して行うものとする。
2.民法820条・・・親権者は、未成年の子の監護及び教育に必要な範囲で、子の財産を管理し、 及びその子の生活を監督する権利を有し、義務を負う。
3.子どもの権利条約
第3条・・・子どもに関するすべての活動において、子どもの最善の利益が最優先で考慮 されなければならない。
第12条・・・子どもは、自らの意見を自由に表明する権利を持ち、その意見は子どもの年 齢及び成熟度に応じて十分に尊重されなければならない。
4.教育基本法 第10条・・・父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する。
5.学校教育法 第21条・・・ 保護者は、子どもを適切な学校に就学させる義務を負う。
6.行政手続法 第5条・・・ 行政手続において関係者の権利を侵害しないよう、公正な手続が 求められる。
7.児童福祉法 第3条・・・ すべての児童は、適切に養育され、その福祉が重んじられなければ ならない。
法律の知識がない私が調べただけでも、これだけ抵触していそうです。この事を真摯に受け止め改訂をご検討ください。
【再質問:仲島】
「様々な問題」、「様々な状況」との答弁ですが、その様々とはどの様な内容かを明確に説明ください明ください。
【答弁】答弁者:教育次長
入学届の保護者氏名欄を保護者2名とした書式に変更した場合、2名の保護者の氏名の記入を求めることになります。その際、1名のみの記入となった場合、窓口にてその理由をお聞きすることになると想定されます。保護者1名の記入となる場合は、離婚によるひとり親家庭の場合、死別によるひとり親家庭の場合など、御本人のプライバシーへの配慮が必要となる状況がございます。入学届の保護者氏名欄を保護者2名とした書式に変更することにつきましては、近隣市等からの情報収集を行い、慎重に調査研究してまいります。
【答弁に対しての意見等:仲島】
想定されるケースを多角的に考えるのは、当然です。しかし、私が申し上げているのは、運用の仕方ではありません。書式変更をお願いしているだけです。1つの欄しか無い為に母親が変わりに父親の氏名を書いているケースもあるのではないでしょうか。2つ欄があり、使用方法に自由度を設けてはダメなのでしょうか。最優先は、やはり「子どもの最善の利益」のはずです。
離婚後は単独親権のため、もう一方の親との接触が難しくなることが多く、両親と継続的な関係を維持する権利を守りにくいとされます。これが、権利条約の理念と矛盾し、バーク条約の精神にも反するとされています。憲法や条約は、法律や条例より上位に位置します。
【再質問:仲島】
その事を念頭において頂き、総括的な形の再質問です。憲法、条約、法律、条例の優位性を踏まえ、健やかな子ども達の成長を支えるべき立場の町として共同親権についての見解及びどの様な支援をするべきかについてお尋ねします。
【答弁】答弁者:企画総務統括監
議員ご提言のとおり、子どもたちは様々な法律などにより、健やかな成長を支えられていることを再認識しております。町としても、未来を切り開く子どもたちへの支援は大変重要であると捉えております。共同親権については、今後の民法改正の内容を注視しつつ、急速に変化する社会や家族情勢に対応できるよう、今後もこどもの権利を守り、健やかな成長を促す施策を展開し、誰一人取り残さない社会の実現に邁進してまいりたいと考えております。
【答弁に対しての意見等:仲島】
子どもの健全な成長のためには、両親が必要です。離婚によって、寂しい思いをしている子どもを行政も守る必要があると考えます。両親の離婚により、辛い経験をした当事者の声を最後に紹介します。
離婚をする時点で、スタートから間違っていたと子どもは感じてしまいます。「僕はなんで生まれたんだろう」この疑問を抱くから辛いんです。そして、両親双方の愛情を複雑な形で知っていきます。
「お母さんがお父さんの悪口を言う」これも歪んだ愛情の形の1つです。「お母さんは必死に僕を守りたいんだ」と感じる。だから、私は連れ去った親にも理解を示したいんです。
でも、片方の親の意見だけ聞いていると、今度は「お父さんは僕のことが本当はどうでもいいんだ」と認知の歪んだ親の目線に近づいてしまう。そして気づいたころには、連れ去られた親の意見なんて、耳に入らなくなってしまう。ここが、単独親権の最大の問題であると感じます。父と10年ぶりに会ってその愛情の深さをまざまざと見せつけられた。あんなに苦しんでいたなんて知らなかったですし、誤解していた自分を恥じました。でも、全ては「連れ去り」が原因なんです。離婚しても結構。誰も初めはしたく無いはずなのに起こってしまうことですし。でも、その後のアフターケアは、両親双方が責任をもってするべきなんです。子にとっての離婚の辛さを軽視してはいけません。するのであれば、きっちり2人で面倒を見続ける必要があります。それが出来ないのであれば、初めから産まないで欲しかった。
現状の単独親権では、片親の意見しか子供に入りません。歪んだ認知のもと、精神的な虐待にあう危険性が非常に高いです。僕がそうでしたから。法律では裁けない数々の虐待を母親から受けました。でも、誰も母を裁いてくれない。みんなが臭いモノに蓋をする。悔しくてたまりません。双方の意見が風通しよく行きかう環境があれば、子どもは正当に親を判断できます。そして、子どもなりに親と向き合おうとします。私の両親は共に未熟です。憎い時もあります。ですが、そこを含めて愛してしまっています。育ててくれたから、無償の愛を授け続けてくれたから。
親子断絶がいかに子どもの成長に暗い影を落とすか。これから社会を担う子ども達が、離婚によって悲しい思いをすることが無いように「いち議員」として尽力してまいります。町でもこの社会問題に真摯に向き合って頂きたいと存じます。是非、大島町長、前向きな姿勢を町民に示してください。伊奈町は、共同親権の方々から注目されている自治体です。
●カスタマーハラスメントの取組について
昨今、ハラスメントと言う言葉を多く耳にすることが多くなりました。ハラスメントとは、日本語にすると「嫌がらせ」です。相手の嫌がることをして不快感を覚えさせる行為全般を意味します。
1980年代後半からセクシャルハラスメントという言葉が飛び交うようになり、近年はパワーハラスメント、マタニティハラスメント、モラルハラスメントなど様々なハラスメントが社会問題となっております。
このハラスメントですが、言った側にそうした気持ちがなくても、相手に苦痛を与える、傷つける、不利益を与える行為などはハラスメントになります。パワーハラスメントや、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメントは法律により要件が定義されていますが、その他のハラスメントについては定義がないものもあります。
最近では新たにカスタマーハラスメントが、社会問題化しております。カスタマーハラスメントは、顧客や利用者が従業員に対して不当または過剰な要求や威圧的な言動を繰り返すことにより、従業員が心理的・身体的な負担や脅威を感じる状況を指します。
このカスタマーハラスメントですが、顧客満足主義と呼ばれる、所謂、「お客様は神様です」という理念拡大により、顧客の権利意識が過度に高まり、従来のクレーム対応の範囲を超え、暴言や暴力、過度な拘束、不条理な要望など、企業や職員にとって合理的な範囲を逸脱する行動を含みます。
この問題は、サービス業や小売業、医療業界など、幅広い業種で増加しており、SNSでも動画としてアップされることもあり、多くの方々が目にしたことがあるかと存じます。
顧客による過剰な要求や威圧的な態度によって、従業員が精神的・肉体的に追い詰められ、精神疾患を患い長期休職や退職に至ってしまう方がいらっしゃるとも聞いております。
このカスタマーハラスメントですが、行政窓口でも、顧客に相当する住民や利用者からのカスタマーハラスメントが発生しており、対応が課題となっています。これは、住民の多様なニーズや期待が高まり、窓口の担当者に対して過度な要求や威圧的な態度が見られることがある様です。それでは、質問です。
【質問:仲島】
要旨1. 職員に対するカスタマーハラスメントの実態はどの様になっているかを伺う。
要旨2. カスタマーハラスメント等の行為には組織での対応が必要であるが対応マニュアル の整備状況について伺う。
要旨3. カスタマーハラスメントにより精神的な負担をかかえたり、疲弊することが無いよ うな相談支援体制の状況については。
要旨4. 職員のプライバシー保護や安全確保の為に名札のフルネームを廃止することは可能 か。
要旨5. 職員カスタマーハラスメント対策基本方針を打ち出すことについての町の見解を伺 う。
町が、職員を守る為にカスタマーハラスメント対策を実施してくれないかもしれない。だったら「私たちが我慢すれば良いのだ」と半ば諦めていた職員もいるかも知れません。職員が安心して業務遂行できる環境を整えることが、町民のみなさまのためにもなる事を踏まえてご答弁願います。
【答弁】
要旨1について. 答弁者:企画総務統括監
仲島議員のご質問の「2.カスタマーハラスメントの取組について」につきまして、順次お答えを申し上げます。はじめに「1.職員に対するカスタマーハラスメントの実態はどの様になっているかを伺う。」でございますが、役場の窓口において日常業務の中で、住民の方などで、中には強い口調で話をされる方がおります。話の内容により最初に窓口で担当した課の職員と一緒に、総務課の職員も対応にあたることもあります。それでも住民の方の感情が収まらない場合などは、警察に通報することも年に数件程度ございます。
要旨2について. 答弁者:企画総務統括監
次に「2.カスタマーハラスメント等の行為には組織での対応が必要であるが対応マニュアルの整備状況について伺 う。」でございますが、現在、カスタマーハラスメントに関する対応マニュアルは 町では作成しておりません。ただし、昨年度「カスタマーハラスメント防止研修」を 全職員を対象に実施し、対処法等を学びました。その際使用した資料に、対処法等が記載されておりますので、研修後においてもその資料を活用しているところでございます。
要旨3について. 答弁者:企画総務統括監
次に、「3.カスタマーハラスメントにより精神的な負担を抱えたり、疲弊することが無いような相談支援体制の状況については。」でございますが、カスタマーハラスメントによるものも含め、職員の健康管理や精神的負担軽減のために、産業医による「職員健康相談」や総務課を窓口 とした「職員健康相談・支援事業」など職員の状況に応じて相談できる体制を整えております。
要旨4について. 答弁者:企画総務統括監
次に、「4.職員のプライバシー保護や 安全確保の為に名札のフルネームを廃止することは可能か。」でございますが、窓口で住民の方に対応する際に、しっかり担当者名を示す大切な面と、議員ご指摘のカスタマーハラスメントのリスクと両面を考慮した上で、名札のフルネーム表記のメリット、デメリットを整理し、既にフルネーム表記を廃止している自治体の効果を、調査研究してまいります。
要旨5について. 答弁者:企画総務統括監
次に、「5.職員カスタマーハラスメン ト対策基本方針を打ち出すことについての町の見解を伺う。」でございますが、現在のところ、カスタマーハラスメントに特化した対策方針の策定予定はございません。しかしながら、業務上の過度のストレスは、職員のメンタルヘルスに影響することや、業務効率を低下させ、ひいては住民サービスの低下につながる可能性があると認識しております。そのため、カスタマーハラスメント対策を含め、職員の精神、身体面の両方における健康管理に十分配慮し、すべての職員が全力を挙げて町民の方のために職務に専念できるよう、働きやすい職場環境づくりに努めてまいります。
【要旨1についての確認等:仲島】
やはり、町でもカスタマーハラスメントに該当する事案は、発生していた様です。更に警察に通報した事案もあったことを認識しました。具体的な内容や事案に至った経緯等については、配慮事項等があり詳細説明はできないかと存じますので、これ以上の深い内容をお聴きすることはいたしません。しかし、この問題から目を背けるにはいきません。
ここで確認・質問を行っている内容についてですが、日常、住民の皆さまから寄せられるご意見やご要望についての事を言っている訳ではありません。建設的なご意見やご要望は、組織に緊張感を与え成長する大切な声です。ここで言っているのは、度を過ぎた行為についての内容であります。
【要旨2についての確認等:仲島】
カスタマーハラスメントだけでなくこの様な行き過ぎた行為に対しては、組織で対応することが必要となります。1人で対応するのではなく、速やかで正しい対応が、その後の関係性を保つためにも必要不可欠と考えております。その為には、日頃からどの様にそれぞれの立場の職員が行動するか、対処するかが重要だと考えます。
【再質問:仲島】
研修資料を「活用している」とのことですが、具体的にどの様に活用をしているのですか。特に窓口での活用方法例をあげて説明ください。
【答弁】 答弁者:企画総務統括監
研修資料につきましては、受講した職員は皆、常備(紙やデータなどで)しているところでございます。研修の中では、カスタマーハラスメントの基本姿勢として、住民の方等から信頼を得るということから、「クレーム対応の基本手順」や「カスタマーハラスメントの見極め方」、「悪質と判断した場合の対応方法」を学んだところでございます。職員は、先ほど申し上げた、研修で学んだ点を立ち返る時などに資料を活用しており、日々の窓口業務に取り組んでいるところでございます。
【答弁に対しての意見等:仲島】
少し私が求めている答弁ではありませんが、活用されている点を信じたいと存じます。機会をみて、窓口職員の方に、直接活用方法等お聞きしてみたいと思います。
【要旨3についての確認等:仲島】
精神的なサポートは、窓口等で対応している職員において、とても重要です。職員が働きやすい環境整備は、必要不可欠と考えます。職員の皆さまが、安心して業務に取組める環境は、町民の皆さまの利益にも通じることだと思います。
【要旨4についての確認等:仲島】
最近、このカスタマーハラスメントへの対策として名札のフルネーム廃止が、サービス業をはじめ飲食業などでも取り組まれています。また、自治体でもフルネームによる名札が廃止され始めています。フルネームがわかることは、対応される側の安心感にも繋がります。また、再度問い合わせを行う際にスムーズに話が進むというメリット等があります。
その反面、フルネームを公開することで、SNSなどを通じて個人情報が特定され、私生活に影響を及ぼすリスクが懸念されています。特に女性職員への配慮はとても大切です。また、名札にフルネームが記載されていると、不当な要求や威圧的な行動をする側からターゲットにされる可能性が高まります。
この対応は、職員のプライバシー保護や安全確保が目的です。SNSなどを利用した個人攻撃が増加しているため、安全を守る対策が求められています。多くの自治体ではフルネーム表記の廃止を進めています。
福生、日野、東村山、土浦、つくば、佐賀、さいたま市、羽生市、白岡市、吉川市、行田市など多くの自治体で既に導入しています。第一線で対応しているのは、執行部の皆さまではありません。もっと目線をさげてその必要性を考えてください。
【要旨5についての確認等:仲島】
「適切な行政サービス利用について」を明確にすることで、職員が理不尽なクレームに対して適切に対処しやすくなります。組織全体でカスタマーハラスメントに毅然とした態度で臨む文化が醸成されます。職員の心身の健康を維持し、ストレスを軽減でき、休職や退職のリスクが低下し、生産性の維持・向上につながります。
【再質問:仲島】
新たに方針を打ち出すことができないならば、「伊奈町不当要求行為対策に関する規程」を改訂することを検討いただけますか?
【答弁】答弁者:企画総務統括監
現在、国では「カスタマーハラスメント対策にかかる具体的な対策」について、企業側に求める方向で検討しているところでございます。このため、関連法案整備の後、具体的な対策を定める指針を来年以降公表することで進められているとのことです。町といたしましては、この国の動きを注視しながら、「伊奈町不当要求行為対策に関する規程」の改訂の方向ではなく、国が示す予定の指針内容を参考に、カスタマーハラスメントに特化した具体的な対策を規定する方向で検討してまいります。
【答弁に対しての意見等:仲島】
方向性を示してくださり有り難うございます。国の指針内容が明確になった際は、速やかな対応をお願いいたします。
カスタマーハラスメント行為が他の町民への住民サービスにも悪影響を及ぼし、過度な要求や暴言が周囲に対してどのような影響を持つかについても周知するでき、住民の意識向上に繋がると考えます。職員も公務員である前に人間です。お互いに尊重すべき部分です。ここの定例会では、時代の変化に伴う問題について取り上げました。現実から目を背けず、1つ1つ解決し誰もが笑顔になれる社会、伊奈町を醸成できる様に大島町長、執行部、職員の皆さまと取り組んでまいります。



