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【令和8年6月定例会 一般質問②】   持続可能な財政運営について

  • 2 日前
  • 読了時間: 15分

※本ページは、令和8年6月定例会で行った一般質問の記録です。 全3項目:①シルバー世代の活躍の場づくり / ②持続可能な財政運営(本ページ) / ③南小学校通学路の交通安全対策 ※各項目ページへのリンクはページ末尾に掲載しています。


はじめに(このページの趣旨)

町の貯金にあたる「財政調整基金」が、1年で大きく減る見込みとなっています。基金を取り崩すこと自体が悪いのではなく、大切なのは「なぜ・どこまで取り崩し、いつ・どの財源で・どの水準まで積み戻すのか」を町民に分かる形で示すことです。本項目では、基金の水準の位置づけと、中長期の財政見通しを町民に公表する考えがあるのかを確認しました。

壇上からの質問

続いて、大項目2、持続可能な財政運営について伺います。

ご自身の家庭において、1年で貯金が大きく減っていく状況が続いているとします。将来の収支見通しが十分に示されないまま、お金のやりくりに問題ないと言われたとき、皆さまは安心して生活を続けることができるでしょうか。

私は、この問いは、今の本町の財政運営を考えるうえで重要な視点であると考えます。自治体財政は、その年度の収支を合わせれば終わりではありません。将来にわたり町民サービスを安定して続けられるのか。その見通しを町民に分かる形で示しているのか。この点が問われています。

ここで、資料②をご覧ください。資料②では、黒字には2種類あることを示しております。


資料② 持続可能な財政運営について 「黒字には、2種類ある。」
資料② 持続可能な財政運営について 「黒字には、2種類ある。」

一つは、収入の範囲内で支出を賄えている黒字です。家庭でいえば、貯金に手をつけずに生活できている状態です。

もう一つは、収入だけでは足りず、貯金を取り崩して収支を合わせている黒字です。自治体財政でいえば、財政調整基金を取り崩して収支を整えている状態です。制度上は収支が整っているように見えても、その中身が基金の取り崩しによって成り立っているのかどうかは、自治体財政運営を見るうえで重要です。

財政調整基金とは、簡単に言えば、町の貯金です。災害や急な収入減、緊急的な支出に備えるためのお金です。

本町の令和8年度予算では、財政調整基金から約5億円を取り崩す見込みであります。また、広報いな令和8年4月号で町民に示された数字として、令和8年度末見込みの財政調整基金残高は5億8,177万円とされており、令和7年度末見込みの10億8,092万円から、1年で大きく減少する見込みであります。

もちろん、基金を取り崩すこと自体が直ちに悪いということではありません。新庁舎整備をはじめ、必要な事業を行うために基金を活用すべき場面はあります。また、予算上の残高見込みと決算時点の残高には差が生じることも理解しております。

しかし、町民にとって重要なのは、結果的に残高が確保される見込みかどうかだけではありません。なぜ取り崩すのか。どの水準まで取り崩すのか。目安を下回る可能性がある場合、いつ、どの財源で、どの水準まで積み戻すのか。この点を町民に分かる形で示すことが必要であります。

本町では、過去の委員会審査などにおいて、財政調整基金について、標準財政規模の8%から10%程度を一つの目安とする考え方が示されています。標準財政規模とは、簡単に言えば、町が通常の行政サービスを行うために、毎年見込める一般的な財源規模を示す目安です。家庭でいえば、毎年の収入の規模に近いものです。

本町の標準財政規模は、自治体の決算状況をまとめた総務省公表の決算カードにおいて、令和5年度は約89億2,500万円、令和6年度は約91億8,700万円と示されています。これを踏まえると、標準財政規模の8%は約7億1,400万円から7億3,500万円程度、10%は約8億9,300万円から9億1,900万円程度となります。

これに対し、広報いな令和8年4月号で示された令和8年度末見込みの財政調整基金残高5億8,177万円は、令和5年度決算カードベースでは約6.5%、令和6年度決算カードベースでは約6.3%となり、これまで本町が財政運営上の一つの目安として示してきた8%から10%の水準を下回る可能性があります。

これは、単に数字が少ないという話ではありません。災害、急な歳入減、公共施設の緊急修繕、物価高騰、福祉や教育に関する緊急的支出など、町民生活に直結する不測の事態への対応力をどの程度確保するのかという問題であります。だからこそ、基金の水準を町としてどのように位置付けるのかを、町民と共有する必要があります。

私は、これまでも委員会審査などにおいて、人件費や扶助費の増加、公共施設の維持管理費の増大を踏まえ、中長期の財政見通しを町民に提示すべきだと主張してまいりました。しかし、執行部からは、シミュレーションはしているものの、事業量や金額の変動が大きいため、数値を公表することは困難であるとの趣旨の答弁がありました。

不確定要素があることは当然です。しかし、不確定だから示せないのではなく、不確定だからこそ、一定の前提条件を置いた見通しを示し、町民と共有することが必要ではないでしょうか。

ここで、資料③をご覧ください。

資料③ 持続可能な財政運営について「阪南市は、将来の財政見通しを公表している」
資料③ 持続可能な財政運営について「阪南市は、将来の財政見通しを公表している」

資料③は、人口規模や財政規模が本町と比較的近い阪南(さかなん)市が公表している中長期財政シミュレーションを基に整理したものです。ここで重要なのは、阪南市の数値を伊奈町に当てはめることではありません。不確定要素がある中でも、前提条件を置き、将来の財政リスクを住民に見える形で示している点であります。

中長期財政見通しは、将来を正確に言い当てる予言ではありません。基金残高、地方債残高、公債費、公共施設更新費用などを見える形にし、どの時点でリスクが高まるのか、どの程度の備えを維持すべきなのか、どの事業を優先すべきなのかを判断するための基礎資料であります。

町民が町の将来を見通すための基礎資料として、中長期財政見通しの作成と公表が必要であると考えます。

以上を踏まえ、本町の財政運営の姿勢について、順次質問いたします。

なお、今回の質問は、必要な事業を進めることと、将来への備えを守ることを両立させるために、町としてどのような基準と見通しを持っているのかを確認するものであります。

質問の要旨

  • 要旨1 町が内部的に作成または活用している中長期財政推計について、対象期間、前提条件、基金残高、地方債残高及び公債費の見通しを伺います。

  • 要旨2 令和8年度末の財政調整基金残高予測5億8,177万円について、財政運営上の安全性と、過去答弁で示された標準財政規模8%から10%の目安との関係を伺います。

  • 要旨3 財政調整基金を今後どの程度の期間で、どの水準まで積み戻す考えなのか、目標水準と具体的な方針を伺います。

  • 要旨4 財政調整基金残高がどの水準を下回った場合に、歳出削減、事業見直し、住民負担見直し等を想定するのか、基本的な考え方を伺います。

  • 要旨5 財政調整基金残高、地方債残高、公債費、扶助費、公共施設更新費用等を含む中長期財政見通しを町民に公表する考えがあるのか伺います。

以上、5つの要旨について、町民の理解に資するよう、具体的で分かりやすいご答弁をお願いいたします。

町の答弁:企画総務統括監

仲島議員のご質問の「2.持続可能な財政運営について」につきまして、順次お答えを申し上げます。

(要旨1について) 現在、新庁舎、ごみ広域処理施設、北部地区消防分署などの多額の事業費がかかる事業や、公共施設、インフラ設備の更新等にかかる費用を含めた、公債費につきまして、今後15年間で想定される事業費でのシミュレーションを実施しているところでございます。こうした各種事業にかかる経費はもとより、国の地方財政計画、国庫補助金制度等についても、社会動向などにより変動が見込まれるなど、不確定な要素が多いことから、あくまで参考としてとらえているものでございます。

(要旨2について) 財政調整基金の残高は、町税や地方交付税など、標準的な状態で通常収入される歳入の大きさを示す指標である、標準財政規模の8%から10%の水準を確保することが一般的に目安とされております。町では、予算編成時における財源不足調整などのため、財政調整基金から繰入をしていることから、残高は一時的に減少し、目安とされる数値を下回る状況となる時点がございます。しかしながら、例年では年度末時点で、事業費の確定などによる、予算額と決算額の差額の積戻し等により、財政調整基金の残高について、目安である数値を確保するよう運営をしております。

(要旨3について) 年度当初や補正予算編成時には、一時的に目安である数値を下回る時点がございますが、年度末までに、財政調整基金の残高の目安である標準財政規模の8%から10%まで積み戻すことを、基本的な考えとしております。引き続き、財政運営の安定性向上のため、更なる基金残高の積み増しを、目指してまいります。

(要旨4について) 財政調整基金の残高が、目安とされる数値を下回った場合には、その時点などの財政状況にもよりますが、歳出側につきましては、例年取り組んでいる、事務事業の見直し、既存事業のスクラップ、経常的な経費節減等をさらに進め、より一層の支出の抑制に努めてまいります。また、歳入側につきましては、直接住民負担の見直しを求める前に、町の産業振興や企業誘致などによる、町税収入面での向上や、移住定住促進により、将来に渡る安定した税収の確保などに、取り組んでまいります。さらには、ふるさと納税や企業版ふるさと納税による寄附額や、町ホームページ等の広告収入など、様々な歳入確保策を図るとともに、ネーミングライツやクラウドファンディングなどによる資金調達などを実施し、より一層の財源確保に努めてまいります。

(要旨5について) 近隣市や他自治体における中長期財政見通しの作成状況やその手法を含め調査研究を行い、町に即した財政見通しの作成に向け、研究してまいります。

再質問① 財政調整基金の積み戻しについて

答弁を踏まえて再質問いたします。まず、財政調整基金の積み戻しについて確認いたします。

財政調整基金については、年度当初や補正予算編成時に一時的に目安を下回る場合があっても、年度末までに標準財政規模の8%から10%まで積み戻すことを基本的な考えとしている、とのことでありました。そこで伺います。

【再質問】 令和8年度末においても、標準財政規模の8%に相当する7億円台前半の財政調整基金残高を確保できる見通しなのか伺います。あわせて、確保が難しい場合には、いつまでに、どの財源で積み戻すのか。広報いな令和8年4月号4ページで町民に公表した令和8年度末見込みとの関係も含め、現時点の見通しを伺います。

【答弁:企画総務統括監】 広報いな令和8年4月号にて公表している、令和8年4月1日現在の令和8年度末の財政調整基金残高見込みは、5億8,177万円でございますが、令和8年度末時点の残高については、令和7年度の決算や本年度の執行状況が未確定であるため、具体的な見通しや数値を申し上げるのは困難でございます。一方、現時点における財政調整基金残高は、目安とする数値を下回っておりますが、例年の実績を踏まえると、今後の予算執行における不用額の精査や、決算剰余金等による積み戻しなどが可能であると見込んでおり、引き続き基金残高の確保に努めてまいります。

【まとめの発言】 現時点で具体的な数値を示すことが難しい点は理解いたしました。ただ、町民には5億8,177万円という年度末見込みが示されています。だからこそ、目安とする7億円台前半との差をどのように回復していくのか、可能な段階で分かる形にしていただきたいと思います。今後は、回復時期と財源の考え方を明確に示していただくよう求めておきます。

再質問② 歳入確保策(ふるさと納税)の実質的な評価について

次に、歳入確保策の実質的な評価について伺います。

答弁では、基金残高が目安を下回った場合の対応として、事務事業の見直しや経常的経費の節減に加え、産業振興、企業誘致、移住定住、ふるさと納税、企業版ふるさと納税、広告収入、ネーミングライツ、クラウドファンディングなど、様々な歳入確保策に取り組むとのことでありました。

ここで、資料④を提示いたします。

資料④ 持続可能な財政運営について「受入額だけでは見えないふるさと納税の実質的な                財政効果」
資料④ 持続可能な財政運営について「受入額だけでは見えないふるさと納税の実質的な                財政効果」

確認いただきたいのは、ふるさと納税は、受入額だけでは実質的な財政効果を判断できないという点です。

資料④は、過去に執行部から示された資料を基に、ふるさと納税の受入額、町民税控除額、地方交付税による補填、返礼品調達費、事務費等を踏まえ、実質的な財政効果を整理したものであります。一定の前提に基づく試算では、令和6年度のふるさと納税受入額2,921万5,000円を、そのまま増収と評価することはできず、財政収支上は約1,498万円のマイナスとなる可能性があります。

これは、ふるさと納税の取組自体を否定するものではありません。町の魅力発信や町内事業者支援として継続する意義があるからこそ、財源確保策として説明する場合には、受入額だけでなく、実質的な財政効果も併せて示す必要があると考えます。そこで伺います。

【再質問】 ふるさと納税を財源確保策として町民に説明する場合、受入額だけではなく、町民税控除額、地方交付税による補填、返礼品調達費や事務費等を踏まえた実質的な財政効果を示す考えがあるのか。あわせて、住民負担を求める前に、町としてどのような歳出見直しと事業優先順位の整理を行うのか、その判断基準を明確にする考えがあるのか伺います。

【答弁:企画総務統括監】 議員ご指摘のとおり、ふるさと納税制度全体における実質的な財政的効果を測る際には、寄附金受入額だけではなく、事業費、町民税の控除額及びそれを補填する地方交付税額等も含めて測る必要がございます。一方で、自主財源の確保手段として、ふるさと納税を位置づけるにあたっては、まずは魅力的な返礼品の開拓や効果的なシティプロモーションを通じて、寄附受入額の拡大に努めることが最優先であると考えております。今後におきましても、受入額のさらなる拡大に努めるとともに、寄附金の使途や決算状況、その財政的効果も含め、町民への分かりやすい説明・情報発信について検討してまいります。また、事務事業の見直しや既存事業のスクラップ等を含めた、歳出の見直しを行うにあたっては、単に予算規模の縮小のみを目的にするのではなく、当該事業がもたらす費用対効果や多様なニーズ、社会情勢や国・県の動向など、多角的な視点から、その必要性や緊急性を総合的に勘案し、慎重に見極めていく必要があると考えております。

 答弁で、ふるさと納税については、実質的な財政効果を確認していく必要があるとの認識を確認いたしました。

町民にとって大切なのは、寄附をいくら集めたかだけではありません。町民税控除、地方交付税による補填、返礼品調達費や事務費等を踏まえたうえで、町財政にどの程度の効果があったのかであります。ふるさと納税を財源確保策として説明する以上、受入額と実質的な効果を分けて、町民に分かる形で示すことが重要です。

あわせて、住民負担を求める前に、歳出の見直しや事業の優先順位について、判断基準を明確にしていくことも必要であります。今後の説明においては、この点を十分に意識していただきたいと思います。

再質問③ 中長期財政見通しの公表について

続いて、中長期財政見通しの公表について伺います。

答弁では、新庁舎、ごみ広域処理施設、北部地区消防分署、公共施設やインフラ設備の更新等に係る費用を含め、公債費について、今後15年間で想定される事業費でのシミュレーションを実施しているとのことでありました。一方、要旨5への答弁は、他自治体の状況を調査研究する、というものでありました。しかし、調査研究は手段であって目的ではありません。私が求めているのは、完全な将来推計ではなく、前提条件を明記した試算を町民と共有することであります。令和8年度中の方向性整理という到達点を見据え、伺います。

【再質問】 現在実施している15年間のシミュレーションについて、財政調整基金残高、地方債残高、公債費などの基本項目と前提条件を明記したうえで、中長期財政見通しとして整理し、令和8年度中を目途に、町民へ段階的に公表する考えがあるのか伺います。あわせて、公表の可否だけでなく、対象期間、掲載項目、前提条件、公表方法について、令和8年度中に一定の方向性を整理する考えがあるのか伺います。

【答弁:企画総務統括監】 現在作成している公債費シミュレーションの算出に当たっては、不確定な要素も多いことから、あくまで内部的な参考資料として捉えているものでございます。議員ご案内のとおり、財政調整基金の残高などの要素も加え、公表を前提とした中長期財政見通しを作成することは、今後の推移の可視化や、財政状況の現状認識の共有という点で、一定の効果があるものと認識しております。しかしながら、中長期の見通しは、各種事業にかかる経費をはじめ、国の地方財政計画や国庫補助金制度、災害対応等の予期せぬ事情など、流動的な要素に大きく左右されることから、試算値と実態との間に乖離が生じる可能性がございます。そのため、確定していない見通しを公表することは、将来の行政サービス水準や財政状況について、必ずしも正確な理解につながらない面もあり、混乱を生じさせるリスクも有していると考えられます。したがって、中長期財政見通しの作成においては、対象とする期間や設定すべき前提条件等も含め、慎重に見極める必要があることから、現時点においては、作成や公表の時期等について、具体的にお答えすることは難しいものでございます。まずは、近隣市をはじめとする、他自治体における中長期財政見通しの作成状況や、その手法・公表に伴う影響などについて、調査・研究を進めてまいりたいと考えております。

【まとめの発言】 答弁は、やはり調査研究を進める、というものでありました。

答弁では、確定していない見通しの公表は混乱を生じさせるリスクがあるとのことでありました。しかし、試算であることを明確にすれば、混乱ではなく、むしろ町民が冷静に判断するための材料になります。

最後に申し上げます。今回求めているのは、財政不安をあおることではなく、町民が町の将来を冷静に判断できる材料を整えることであります。基金をどの水準で守り、下回った場合にどう立て直すのか。その見通しを、調査研究にとどめることなく、まずは令和8年度中に、対象期間、掲載項目、前提条件、公表方法という形で、一定の方向性として整理していただくよう強く求めます。なお、その進捗につきましては、所管の総務建設産業常任委員会の場でも、私から継続して確認してまいります。以上を申し上げ、大項目2を終わります。

関連ページ

  • 【令和8年6月定例会 一般質問①】シルバー世代の活躍の場づくりについて https://x.gd/Eh76P

  • 【令和8年6月定例会 一般質問③】南小学校通学路の交通安全対策について https://x.gd/zkGzx

  • 一般質問の全体像(目次ページ)https://x.gd/by4pM

仲島ゆうた|日本維新の会・伊奈町議会議員

仲島ゆうた 日本維新の会・伊奈町議会議員

©2023 仲島ゆうた 日本維新の会・伊奈町議会議員

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