令和7年9月定例会 一般質問(個人)
- n42yuta930
- 9月12日
- 読了時間: 30分
テーマ:市街化調整区域における土地利用の実態と対策について
・一般質問にて取り上げた内容を記載します。
※伊奈町議会は、一問一答式となっております。
議員は、通告した最初の質問主題の要旨1項 目を登壇して質問した後、その質問項目について執行部が答弁を
行います。
その後、議員は自席で1つの質問項目ごとに質問し、執行部が答弁を進めて行きます。
時間は、質問及び答弁を含め75分です。
・ここでは、議場で読み上げる為の原稿(読み原稿)を記載しております。
実際の質問の場で は、その場で言い回しは変えている箇所もございます。
その点に関しては、ご容赦 ください。
・正式な発言等は、「伊奈町HP 町議会:議会検索」よりご確認ください。 https://smart.discussvision.net/smart/tenant/inamachi/WebView/rd/speaker_minutes.html? speaker_id=19&search_index=99
【質問:仲島】 皆さまは「市街化調整区域」をご存じでしょうか。
これは都市計画法に基づき、都市の健全な発展と秩序ある整備、公共の福祉を目的に設けられた区域
であり、農地や緑地といった貴重な資源を次世代に引き継ぐ大切な役割を担っています。伊奈町にお
いても、持続可能な発展や住環境の保全、歴史や文化の継承を考えるうえで極めて重要です。
一方で現状を見ると、丸山地区をはじめとする市街化調整区域では、資材置場や廃棄物仮置場など、本来の趣旨に沿わない土地利用が進み、生活環境や景観への影響が懸念されます。丸山地区は、伊奈氏屋敷跡を有する歴史的地域であり、文化的価値の保全と調和のとれた土地利用が求められます。
また、教育施設周辺では、騒音や粉じん、大型車両による影響が懸念されるため、子どもたちの安全と健全な成長を第一に考えた環境整備が必要です。
さらに、都市計画道路整備の遅れ、開発許可制度の公平性確保、優良農地の保全と担い手育成、防災力の向上、資産価値の安定化など、課題は多層的に存在します。近年は、都市再生特別措置法や国土利用計画法、地域再生法の改正により、地方創生が一層重視されています。本町としても、地域の特性や町民の声を出発点に、将来像から逆算して策定する包括的かつ戦略的な土地利用方針が不可欠です。
その際には、開発と保全の調和を図り、安心と利便性を両立させながら、住民福祉を高めることが重要です。今回の定例会では、市街化調整区域を中心とした土地利用の現状と基本的考え方、そして変化する社会環境に対応する方針について、町のご見解を伺います。
要旨は、7つです。
要旨1:町における市街化調整区域に建設可能な建物などを具体的に伺う。
要旨2:市街化調整区域の現状と土地活用の可能性について伺う。
要旨3:町で営業している資材置場や産業廃棄物関連業者に対し、環境保全及び町民の安心・安全確 保の観点から町が実施している監視や指導、環境調査などの実態について具体的に伺う。
要旨4:市街化調整区域における資材置場や廃棄物保管場所などの屋外保管施設について、その件数 や用途などについて届出状況を把握しているか伺う。
要旨5:町内における「宅地造成及び特定盛土等規制法(通称;盛土規制法)」に基づく許可対象事業 場の設置などの把握状態について伺う。
要旨6:学校教育法施行規則第1条に規定される「教育上適切な環境」を確保するため、教育施設周辺 での資材置場や産業廃棄物関連施設などの設置に対してどのような基準が設けられているのか
を伺う。
要旨7:様々な土地利用により町民の財産や生活環境が影響を受けた場合、その相談窓口をはじめと する対応体制はどの様になっているかを伺う。
以上、壇上から、私の質問を終了いたします。
【答弁】答弁者:都市建設統括監(都市計画課)
仲島議員のご質問の「1.市街化調整区域における土地利用の実態と対策について」のうち、所管事項につきまして、順次お答えを申し上げます。
はじめに「1.伊奈町における市街化調整区域に建設可能な建物等を具体的に伺う。」でございますが、
基本として、都市計画法の基準に合致していることが前提となりますが、調整区域の利便施設として、コンビニや自動車修理工場等の店舗・事業所、自己居住用の住宅、農業用の建物、公民館等の公益上
必要な建物、廃棄物処理場等の市街化区域への建設が不適当・困難な建物、町の計画に合わせて町長 が区域を指定し、開発を認めた建物などが、該当となります。
次に「2.市街化調整区域の現状と土地活用の可能性について伺う。」でございますが、現状といたし ましては、市街化区域と比較して、良好な緑や農地が残存しておりますが、道路や上下水道等のイン フラ整備が進んでおりません。また、経済的な理由や相続の問題などから、有効活用されていない土 地も増加傾向に見受けられることから、多くの課題もございます。土地活用の可能性につきましては、市街化調整区域は、無秩序な開発を抑制する地域であり、課題もございますが、土地活用の可能性も 多岐にございます。いずれにいたしましても、立地や用途、建物の種類などに応じて、各種法令の順 守や関係機関との協議、許認可を得る必要がございます。
次に「6.学校教育法施行規則第1条に規定される「教育上適切な環境」を確保するため、教育施設 周辺での資材置場や産業廃棄物関連施設等の設置に対してどのような基準が設けられているのかを伺う。」でございますが、建築物を伴う、資材置場及び産業廃棄物関連施設等につきましては、都市計画法及び建築基準法の 許認可が必要となります。また、現状、その法令の中で、教育施設周辺について の基準は、ございません。
次に「7.様々な土地利用により町民の多岐に渡り、それぞれ専門性を要する場合がございます。 現状といたしましては、相談の内容を、しっかりと伺い、必要に応じて、それぞれの担当部署にて、対応しております。財産や生活環境が影響を受けた場合、その相談窓口をはじめとする対応体制はどの様になっているかを伺う。」でございますが、土地利用に関わる相談につきましては、相談者の求める対応や説明の内容が、多岐に渡り、それぞれ専門性を要する場合がございます。現状といたしましては、相談の内容を、しっかりと伺い、必要に応じて、それぞれの担当部署にて、対応しております。
【答弁】答弁者:くらし産業統括監(環境対策課・アグリ推進課)
仲島議員のご質問の「1.市街化調整区域における土地利用の実態と対策について」のうち、所管事項
につきまして、順次お答えを申し上げます。
はじめに「3.町で営業している資材置場や産業廃棄物関連業者に対し、環境保全及び町民の安心・安 全確保の観点から町が実施している監視や指導、環境調査等の実態について具体的に伺う。」でございますが、一時的な土石の堆積の資材置場や産業廃棄物処理施設に関しましては、いずれも埼玉県に指導権限がございますことから、町での監視・指導や環境調査は行っておりません。
次に「4. 市街化調整区域における資材置場や廃棄物保管場所等の屋外保管施設について、その件数や 用途等について届出状況を把握しているか伺う。」及び 「5.町内における宅地造成及び特定盛土等規制法(通称「盛土規制法」)に基づく許可対象事業場の設置等の把握状態について伺う。」につきましては、関連がございますので、一括してお答えを申し上げます。
農地の転用目的が資材置場である農地転用許可件数につきましては、令和4年度から6年度の3年間で7件ございます。また、盛土規制法において届出が必要となる、一時的な土石の堆積による資材置場は、最大時に堆積する高さが2m超かつ面積300㎡超となるもの、もしくは最大時に堆積する面積が500㎡超になるものであり、町内には令和7年7月末時点において、5件ございます。 なお、廃棄物保管場所等の屋外保管施設の件数につきましては、把握してございません。
【要旨についての確認等:仲島】
それでは、順次確認させていただきます。要旨1からです。
都市計画法は、都市の整備と土地利用の適正化を図るための法律であり、住居・商業・工業地域などの用途を定め、開発行為や建築には原則として許認可基準を設けています。また、道路、公園といった公共施設の整備や、住民の意見を踏まえた計画策定により、都市全体の発展と生活環境の向上を目的としています。この法律の趣旨に鑑みると、廃棄物処理施設などの設置についても、都市計画の整合性や環境保全、安全性の観点から、原則として市街化調整区域内での新たな建築は認められておりません。ただし、市街化調整区域においても、一定の条件下や例外措置が検討される可能性があるため、導入として要旨1で取り上げました。
先ほどのご答弁では、「廃棄物処理場などの市街化区域への建設が不適当・困難な建物」との表現が用いられましたが、この説明では、町民に対し市街化調整区域の規制が過度に緩和されている印象を与えかねません。そこで、再質問になります。
【再質問:仲島】 当該表現は、(市街化調整区域の住民に対し)あたかも市街化区域での廃棄物処理施設などの建設が『全面的に禁止』されているかのような誤解を与えかねないと判断します。では、実際には、法第34条第14号などによる『例外許可』の可能性も存在する中で、なぜ『不適当・困難』と一律に否定する表現を用いたのかをお示しください。
【答弁】答弁者:都市建設統括監(都市計画課)
市街化区域におきましては用途地域が定められており、工業系の用途地域におきましては、廃棄物処理施設の建設の可能性が考えられます。 都市計画法第34条各号につきましては、用途地域が定められていない市街化調整区域に適用する基準です。町としましては、法令遵守が基本でございますので、条文を引用する表現となるものです。
【答弁に対しての意見等:仲島】
私は、町民の負託を受け、町の将来を左右する重要課題として取り上げておりますが、『条文を引用する表現となる』という説明では、住民の不安や疑問に応えたことにはなりません。もっと分かりやすく、具体的に説明する責任があるのではないでしょうか。そこで、質問を行います。
【再質問:仲島】
法制度と行政方針を混同した説明は、住民の理解をあやまらせるものと考えますが、いかがですか。
【答弁】答弁者:都市建設統括監(都市計画課)
法令遵守が基本であり、法令に逸脱した説明はできませんので、条文を引用する説明となっているものです。町としましては、住民に誤解が生じないよう、注意してまいります。
【答弁に対しての意見等:仲島】
ご答弁を受け止めました。重要なのは、町民の皆さまが都市計画制度を正しく理解できるよう、法制度上の可能性と、行政としての方針を明確に区別して説明することだと考えております。
例外規定がある以上、それを隠すことなく説明した上で、『町としては困難と考える』などと示すことが、誤解を防ぎ、町民の信頼につながるものと考えます。今後は、町民に誤解を与えない表現や説明方法をお願いいたします。町の都市計画行政がより透明で、公平なものとなるよう取り組まれることを強く要望し、次の質問をおこないます。
【再質問:仲島】
都市計画法には、「住民の意見を聞く」手続きが具体的に定められている条文が幾つかあります。その中で町が重要と考えるものを示し、その理由をお示しください。
【答弁】答弁者:都市建設統括監(都市計画課)
都市計画法では、都市計画決定及び変更を行う際に公聴会の開催など、「住民の意見を聞く」定めがあります。町としましては、法令遵守の考えから、全て重要なものと捉えております。
【答弁に対しての意見等:仲島】
私は、都市計画法で住民の意見を聞くことが大切な理由は、3点に集約されると考えます。
①生活への影響が大きい:都市計画は道路・公園・建物規制など、町民の日常生活に直接関わるため、当事者の声なしでは実効性や公平性が損なわれる。
②地域の実情に合った計画:行政だけでは把握しきれない地域の課題(防災・交通・コミュニティなど)を町民が指摘することで、より実情に即した計画が作成できる。
③合意形成によるトラブル防止:計画段階で意見を調整することで、完成後の「反対運動」や「想定外の混乱」を回避し、都市開発の円滑な推進が可能になる。
都市計画法の根本理念である「都市は住民の共有財産」という考えに基づき、計画の民主性を担保し、持続可能なまちづくりを目指す為のものである点を町も今一度、町民に広く周知をすべきではないでしょうか。
【要旨についての確認等:仲島】
それでは、要旨2になります。
市街化調整区域は、市街化区域に比べ緑地や農地が残る一方で、道路・上下水道などインフラ整備が遅れ、経済的・相続的理由から未活用地が増加しています。本来は都市計画法第7条第3項の趣旨に基づき、無秩序な開発を抑制し、自然や農地を保全する区域ですが、土地活用の「可能性」は抽象的に語られるにとどまり、具体的な事例や実績が示されていません。そのため市街化区域で不適当とされる大規模施設が調整区域に集中する懸念は払拭されず、農地法の転用許可や都市計画法34条の例外規定の運用次第では違法転用や環境悪化を招く恐れがあります。こうした現状を踏まえ、土地活用の具体的可能性について検証するために再質問を行います。
まず、調整区域の土地がどのように活用されてきたのかを把握したいと思います。
【再質問:仲島】
令和3年から直近までの市街化調整区域面積の変化と開発許可件数、主な開発用途の実績を具体的にお示しください。
【答弁】答弁者:都市建設統括監(都市計画課)
市街化調整区域面積につきましては、昭和60年から変更がなく、面積910.7ヘクタールでございます。なお、市街化調整区域における令和3年度から令和6年度までの実績となりますが、開発許可件数につきましては、62件。開発用途につきましては、住宅54件、コンビニエンスストア2件、病院1件、福祉施設1件、工場2件、 倉庫1件、事務所1件でございます。
【再質問:仲島】
質問を続けます。
再々質問として、不許可件数・届出却下件数、是正指導件数をお示しください。
【答弁】答弁者:都市建設統括監(都市計画課)
不許可件数、届出却下件数、是正指導件 数につきましては、0件でございます。
【答弁に対しての意見等:仲島】
市街化調整区域が910.7ヘクタールあり、令和3年度から6年度で62件の開発許可実績があるということがわかりました。この実績から、住宅が54件と大部分を占めていますが、工場2件、倉庫1件など事業用途での開発も実際に許可されています。そうしますと、廃棄物処理施設についても、都市計画法第34条の基準を満たせば現実的に許可される可能性があると認識しました。
【再質問:仲島】
続いて、農業委員会との連携体制についても説明してください。
【答弁】答弁者:くらし産業統括監(アグリ推進課)
農地転用を伴う開発行為につきましては、農地の許認可と同時申請、同時許可が原則でございますので、農業部局と開発部局が、情報を共有し、連携しながら、業務を遂行しております。
【再質問:仲島】
次に、農地が残存している現状を踏まえ、再質問です。
直近4年間の農地転用の許可件数を教えてください。
【答弁】答弁者:くらし産業統括監(アグリ推進課)
直近4年間の農地転用許可の許可件数 は、87件でございます。
【再質問:仲島】
続いて質問です。
市街化調整区域同様に不許可件数・届出却下件数、是正指導件数をお示しください。
【答弁】答弁者:くらし産業統括監(アグリ推進課)
不許可件数、届出却下件数、是正指導件 数につきましては、0件でございます。
【答弁についての確認等:仲島】
農地は食料生産の基盤であると同時に、防災機能や景観保全など多面的な役割を担っています。事前相談を行っている様ですが、87件すべてが許可されているという事実は、申請者にとっては利便性の高い制度運用といえますが、本当に必要性の高い転用のみが行われているか、農地保全の観点から適切な歯止めが機能しているかという疑問も生じます。許可の判断過程の透明性向上、事前相談段階での指導状況の公表、長期的な土地利用計画との整合性確保に向けた取り組みを強化する必要があると感じました。町民の皆様の貴重な財産である農地の適正な利用について、注視する必要性を強く感じました。
次に資材置場を整備する際、フェンスや擁壁を設置する工事についてお伺いします。
都市計画法では、建築物や一定の工作物をつくるために行う土地の形状や区画の変更を「開発行為」と定めています。いわゆる造成行為に当たるかどうかが、許可や規制の対象となるかを左右します。
町内でも、資材置場に関連して擁壁やフェンスが急に設置され、周辺住民から「この工事は法律上問題ないのか」「安全性や景観は大丈夫なのか」といった不安の声が寄せられています。特に、高さのある擁壁や大規模な盛土が行われると、排水や土砂崩れへの懸念、安全面への影響は小さくありません。
資材置場をつくる場合、単に土地を囲うだけなのか、それとも擁壁や盛土などで恒常的に土地の形を変えるものなのかによって、「開発行為」に該当するか否かの判断が分かれると考えます。
そこで伺います。
【再質問:仲島】
町としては、このようなケースで「開発行為にあたる」と判断する具体的な基準をどのように整理し、また実務上どのように運用しているのかを説明ください。
【答弁】答弁者:都市建設統括監(都市計画課)
「開発行為にあたる」判断につきましては、建築物及び特定工作物の建設を目的とした、土地の区画・形質の変更があるかにより、判断しています。なお、案件ごとに関係する法令等の基準を運用して、実務上処理しております。
【答弁についての確認等:仲島】
開発行為の判断基準については概ねわかりました。開発行為の該当性判断は、地域の土地利用や住環境に直接影響する重要な行政判断です。特に廃棄物処理施設のような施設については、開発許可の段階から住民への情報提供が求められると考えます。町民の視点からでは、現在の「案件ごとに実務上処理」という運用は、判断の一貫性や透明性に疑問を感じるのではないでしょうか。町民の生活環境を守るため、適正な開発規制の運用をお願いいたします。
時間の関係もございますので、先に進みます。
【要旨についての確認等:仲島】
要旨3についてです。
県に指導権限があるから、町では監視・指導や環境調査は行っていないとのことですが、地方自治法第1条の2には「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。」と示されています。町民の生命・財産・生活環境を守ることは、町の基本的責務と考えます。そこで質問です。
【再質問:仲島】
県に権限があることと、町が住民の安全確保のために何らかの取り組みを行うことは両立するはずです。町として住民の安心・安全確保に対する基本姿勢をお聞かせください。
【答弁】答弁者:くらし産業統括監(環境対策課・アグリ推進課)
町には、監視・指導の権限がないため、出来ることが限られますが、住民から相談された際は、現状を把握したうえで、監督庁である県に速やかに通報するなど、県と連携し、住民の安心・安全を確保するよう 努めてまいりたいと存じます。
【答弁についての確認等:仲島】
ただいまのご答弁において、町が住民からの相談に対し現状把握を行い、県への迅速な通報と連携を通じて安心・安全の確保に努める姿勢を明確に示されたことを高く評価いたします。確かに町には直接の監視・指導権限はありませんが、地方自治法第1条の2に定められた住民福祉の増進という基本的役割を踏まえ、可能な範囲で積極的に対応いただけるとの答弁は、町民にとって大きな安心につながります。行政法の観点からも、権限が分担されている場合でも、基礎自治体が果たすべき役割は小さくありません。相談受付から現状把握、上位機関への情報提供に至る流れは、多層的な行政システムの中で住民の権利を守る重要な機能であります。特に現状把握の実施は、住民と県をつなぐ要となるものであり、今後も制約のある中で住民に寄り添った対応を継続されるよう要望いたします。続いて、許可業者について確認させていただきます。
【再質問:仲島】
廃棄物処理法に基づく産業廃棄物処理業および収集運搬業の県内許可業者のうち、町内で事業活動を行っている業者数と業種別内訳、並びに町としての把握状況および監視体制をお示しください。
【答弁】答弁者:くらし産業統括監(環境対策課・アグリ推進課)
県のホームページで公開されております、町内の産業廃棄物中間処理業者は3事業者、産業廃棄物収集運搬業者は4事業者ございます。なお、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第四条第2項におきまして、「都道府県は、区域内における産業廃棄物の状況を把握し、産業廃棄物の適正な処理が行われる様に必要な措置を講ずることに努めなければならない。」と、産業廃棄物に関する県の責務が定められていることから、町独自の監視は行ってございません。
【答弁についての確認等:仲島】
廃棄物処理法第4条第2項を根拠に町独自の監視は行わないとの答弁でしたが、同条項は県の責務を定めたものであり、町の役割を排除するものではありません。むしろ町は住民に最も身近な自治体として、権限の有無を理由に消極姿勢に転じるのではなく、積極的に関与すべきです。先ほどは「県と連携し安心・安全を確保する」と答弁されたにもかかわらず、ここでは後退した姿勢を示されており、一貫性を欠くと言わざるを得ません。実態把握、県との連携、住民への情報提供はいずれも町独自に取り組める分野です。事業者情報の整理や現地確認、住民からの通報体制の強化、県との定期的な情報共有、相談窓口の周知など、町にできることは多々あります。これらを怠れば、住民の不安は放置されることになります。権限の制約を口実とせず、町としての責務を果たす姿勢を強く求めます。
【要旨についての確認等:仲島】
次に進みます。
要旨4、5は関連があり、一括して答弁されていたので、私も同様に要旨4と5を通して確認をさせていただきます。
環境リスクが最も高い廃棄物保管場所を「把握していない」のは行政として重大な問題ととらえました。廃棄物保管場所等の屋外保管施設については火災・悪臭・土壌汚染などの環境リスクが最も高く、住民の生活環境に直接影響を与える可能性があります。
【再質問:仲島】
そこで再質問です。
なぜ把握していないのか、また今後、実態調査を行う具体的な計画があるかについてお聞かせください。
【答弁】答弁者:くらし産業統括監(環境対策課・アグリ推進課)
排出事業者から排出された産業廃棄物は、収集運搬業者が中間処理場に運び、資源化されなかった廃棄物は最終処分場で埋め立てられるので、排出事業者や中間処理場以外での「産業廃棄物を保管する場 所」という概念はないため、把握しておらず、実態調査を行う具体的な計画はございません。
【答弁についての確認等:仲島】
町民の立場としては、やはり町が把握をして、問題発生した際、対応などの拠り所の存在であってほしいと願っております。部署横断的な連携体制を構築いただきたいと存じます。
要旨の途中ではありますが、町民の代弁者として申し上げます。町民の生命・財産・生活環境を守ることは地方自治法に明記された自治体の根幹的使命です。しかし、ここまでの答弁状況は、町民の期待と大きく乖離しています。行政が「安心」「安全」と伝えるのであれば、根拠と継続的な監視体制が不可欠です。許可施設だけでなく許可不要施設も含め、町が定期的に現地確認し、問題があれば迅速に対応することが求められます。特に廃棄物保管施設は火災や土壌・地下水汚染、悪臭など深刻なリスクを孕み、一度問題が生じれば取り返しがつきません。「県の権限だから」「把握していない」とする消極姿勢では、町民の不安は解消されません。町民に最も近い基礎自治体として、「知らない」「やらない」ではなく、「知る努力」「やれることを尽くす」姿勢への転換を強く求めます。
質問を継続させていただきます。
【再質問:仲島】
直近4年間で、これらの施設について近隣住民から寄せられた苦情や相談は何件あったのか。その具体的な内容と町がどのような対応を行い、どのような結果になったのかを明確にお示しください。
【答弁】答弁者:くらし産業統括監(環境対策課・アグリ推進課)
直近4年間の相談件数は、16件ございました。主な相談内容は、「昼間の作業音が大きい」、「防音壁で遮らないところで作業をしている」などで、町職員が状況を確認したうえで、事業者に対し騒音を抑制するような対応を、依頼いたしました。その結果、防音シートの設置や、騒音が発生した作業場所の移動、従業員へ丁寧な重機の操作を呼び掛けるなどの対応をしていただいております。
【答弁についての確認等:仲島】
町民の声をしっかり伝えていただける事ほど有難いことはありません。速やかな対応、心より感謝いたします。質問を続けます。
【再質問:仲島】
近年、全国的にストックヤードと呼ばれる場所での犯罪や事件、環境汚染が問題視されているのをご存じの方もいらっしゃると思います。町として、このリスクをどう認識しているのか。そして、防止のためにどのような具体的な方針や対策をお考えなのかをお示しください。
【答弁】答弁者:都市建設統括監(都市計画課)
議員ご質問のとおり、町におきましても、将来的に類似・同様の事案が、発生する可能性もあるものと認識しております。現在のところ、町におきましては、類似・同様の事案は、発生しておりませんが、発生した場合におきましては、 その状況ごとに、個別、具体な対策や対応が必要となり、関連する法令や管轄によりましては、様々な関係機関との協力・連携が必要なものと考えております。
【答弁についての確認等:仲島】
町がストックヤード問題を将来的なリスクとして認識していただいている点は、大変心強く思います。また、問題が発生した際には、関係機関と連携して対応するという基本的な考え方を示していただいたことも適切な姿勢と受け止めております。次の質問に進みます。
【再質問:仲島】
川口市では「資材置場規制条例」が制定され、住民の安全や環境保全が強化されています。本町としても同様に、条例制定や要綱整備を検討すべきではないでしょうか。町の考えと今後の方向性をお示しください。
【答弁】答弁者:都市建設統括監(都市計画課)
ストックヤード等の土地利用をする場合におきましては、景観や防犯の観点からも、住環境等に、様々な配慮をすることが望ましいと考えております。しかしながら、個人所有の土地利用に対して規制を設定し制限することは、土地利用者側の合意形成など、難しいところもございます。町といたしましては、町内の現状を把握するとともに、川口市の事例等を参考にしながら、慎重に研究・検討してまいります。
【答弁についての確認等:仲島】
景観や防犯の観点から住環境への配慮が重要だという認識や、川口市の事例を参考に研究・検討する姿勢は評価いたします。しかし、問題が起きてから対応するだけでは、町民の安心・安全は十分に守れません。予防的な取り組みやリスクを軽減する仕組みづくりが不可欠です。土地利用規制についても、都市計画法や建築基準法で一定の制限はありますが、個人の権利と公共利益のバランスを踏まえ、生活環境を守る観点でさらに検討が必要です。伊奈町で川口市のような条例制定が難しい背景には、権限や人的・財政リソースの制約、法的リスクへの慎重姿勢などがあると考えます。しかし、それでも、基礎自治体として条例制定権を活用し、町民の安心・安全を具体的に確保することが行政の責務だと考えます。次に「宅地造成及び特定盛土等規制法」について質問させていただきます。
【再質問:仲島】
無許可での土砂堆積や条例違反事例があった場合、町として有する対応権限(立入検査・是正指導・県への通報義務など)をお示しください。
【答弁】答弁者:くらし産業統括監(環境対策課・アグリ推進課)
県条例違反が疑われる通報があった際には、町職員が現地確認をした後のち、指導権限を有する埼玉県中央環境管理事務所に、速やかに通報いたします。県から要請があった場合や必要に応じて、町職員も現地で立ち合いをいたします。
【再質問:仲島】
関連しての質問を続けます。直近4年間で対処実績があれば、お示しください。
【答弁】答弁者:くらし産業統括監(環境対策課・アグリ推進課)
令和5年度に埼玉県土砂条例違反が1件ございました。町から埼玉県中央環境管理事務所へ通報したのち、行政指導が行われ、違法状態は是正されました。
【再質問:仲島】
更に質問を続けます。
500平方メートル未満に分割して届出義務を逃れるケースも考えられますが、町はこの様なケースをどの様に防ぐことができると考えられますか。
【答弁】答弁者:くらし産業統括監(環境対策課・アグリ推進課)
県に確認したところ、規制対象規模未満の土石の堆積を複数に分けた場合においても、一体的に堆積行為を行うと認められれば、届出や許可が必要となります。町といたしましては、県から届出や許可の情報がない、規制対象となる土砂の堆積を確知した場合は、速やかに埼玉県中央環境管理事務所に通報するなど、対応してまいります。
【答弁についての確認等:仲島】
連携体制が整備され、違反事例にも適切に対応し是正した実績は、繰り返しますが町民にとって心強い内容です。しかし、違反の早期発見は依然として重要であり、定期巡回や住民通報体制、周知啓発の整備が不可欠です。町民の願いでもあるため、同じ指摘を繰り返しますが、県との連携を基盤に予防的取り組みも含めた総合的な対策で、生活環境保全にさらに積極的に取り組むことを強く期待します。
【要旨についての確認及び再質問:仲島】
要旨6は、子ども達の学ぶ環境についての詳細を質問します。
通学路に面した市街化調整区域での土地利用について、児童生徒の通学安全を考慮した特別な配慮や制限はありますか。
【答弁】答弁者:都市建設統括監(都市計画課)
開発許可制度におきましては、児童生徒の通学安全に着目した特別な配慮や制限はございません。
【再質問:仲島】
では、大型車両の通行規制に関しては、どの様になっていますか。
【答弁】答弁者:都市建設統括監(都市計画課)
警察庁から発出されております交通規制基準によりますと、「大型自動車等通行止め」につきましては、対象道路として①児童・幼児の通学・通園路②住宅地、商店街等にある歩車道の区分のない道路で、大型自動車等の通行に十分な幅員がないもの③住宅・商業地域等に ある地域内又はその周辺において、道路構造等から騒音、振動等の交通公害が発生する恐れのある道路等がございます。また、大型車両が規制されている場合でも、通行道路を管轄する警察署に通行禁止道路通行許可申請を提出し、審査を受けたうえで、「通行禁止道路通行許可証」と「通行禁止道路通行許可車」の標章が交付され、通行が許可となる制度がございます。
【答弁についての確認等:仲島】
この現状には少し驚きました。子ども達が通学する上での安全配慮はもっと行われているものだと想像しておりました。多分、この答弁をお聞きになった町民の方も同じ感想ではないでしょうか。質問続けます。
【再質問:仲島】
教育施設周辺での騒音・振動・粉じん等に関する環境基準は設定されていますか。
【答弁】答弁者:くらし産業統括監(環境対策課・アグリ推進課)
「埼玉県生活環境保全条例」で、150㎡以上の資材置場の騒音と振動について規制基準を設けておりますが、学校・保育所・病院などの敷地の、周囲おおむね50mの区域内は、規制基準より5デ シベル減じた値となるよう、規制が強化されております。また、粉塵につきましては、500㎡以 上の土石の堆積の場合には、大気汚染防止法又は埼玉県生活環境保全条例の粉塵発生施設としての届出が必要であり、散水設備の設置等の規制基準はございますが、教育施設周辺に対して、規制を強化する環境基準はございません。
【答弁についての確認等:仲島】
全てが満たされる状況にないのは、残念で仕方ありません。将来的には、何らかの形で改善向けて働きかけたいと考えます。質問を続けます。
【再質問:仲島】
災害時において教育施設周辺の土地利用についての防災上での制約は設けているか。
【答弁】答弁者:都市建設統括監(都市計画課)
土砂災害防止法では、土砂災害特別警戒区域に指定されている区域の土地利用に対し、特定の開発行為に対する規制や、建築物の構造規制などが定められております。伊奈町には、土砂災害特別警戒区域に指定されている区域はありませんので、防災上の制約はないものでございます。
【答弁についての確認等:仲島】
未来を担う子どもたちの教育環境を守ることは、町政の最重要課題の一つです。法令に基準がないということと、町として何もしないということは全く別の問題ではないでしょうか。むしろ法令に明確な基準がないからこそ、子どもたちに最も身近な基礎自治体である町が、独自の配慮と基準を設ける責任があるのです。『子どもたちのために町として何ができるか』を考える姿勢も、今、町に求められていると私は、考えます。
【要旨についての確認等:仲島】
要旨7です。
住民が不安を抱えながら暮らしている現状を放置すれば、町への信頼は低下し、住環境の持続可能性が損なわれます。そこで、住民の生活権と今後の土地利用方針について確認いたします。
【再質問:仲島】
開発事業者などと住民間で紛争が生じた場合、町としてできる事はどの様なことがあるかをお示しください。
【答弁】答弁者:都市建設統括監(都市計画課)
基本として、紛争の当事者同士で、 調整・解決することが望ましいものです。町といたしましては、公平・中立な立場 であることから、積極的に関与する考えはありませんが、紛争の当事者間が、建設的 なコミュニケーションを築き、話し合いで 解決できるよう、助力してまいりたいと存じます。
【答弁についての確認等:仲島】
町が公平・中立な立場を保ち、当事者間の建設的な話し合いを支援するとの基本姿勢を示していただいたことは理解いたします。しかし、開発事業者と住民では、情報量や交渉力に大きな格差があることが多く、単純に当事者同士での解決を求めるだけでは限界があります。公平・中立の立場を保ちながらも、住民の皆様が安心して相談できる体制づくりや、紛争の予防に向けた情報提供など、より積極的な住民支援策について検討していただくことを要望いたします。
視点を変えて進めます。
冒頭に申し上げましたが、丸山には、伊奈氏屋敷跡をはじめ、歴史的・文化的に貴重な財産が残されており、これらは町の誇りであり、次世代へと継承すべき大切な資源です。この財産は市街化調整区域に位置し、都市計画法の枠組みで無秩序な開発を抑制しつつ、環境や景観が守られています。他の自治体では文化財保護の課題が顕在化している事例も見られます。市街化調整区域の負のイメージを払拭し、この財産の価値を更に広く共有するため、町民の皆さまとともに理解を深める取り組みを推進する必要があると考えます。適切な維持管理を通じて安心・安全と文化継承を両立させる仕組みは、優れた行政対応力の証であり、地域活性化の礎となるでしょう。将来を見据え、こうした取り組みを積極的に発信することで、歴史的財産と調和したまちづくりが実現できると考えます。
そこで質問します。
【再質問:仲島】
伊奈氏屋敷跡の文化財保護の現状についてお示しください。
【答弁】答弁者:教育次長(生涯学習課)
伊奈氏屋敷跡は、昭和9年に埼玉県指定文化財に指定されていることから、文化財保護法及び埼玉県文化財保護条例に基づき、県と協力して保護・保存に努めているところでございます。現状としましては、発掘調査を実施した際には、現地説明会を実施しているほか、依頼があった際には史跡内を同行案内するなど、平成31年3月に策定した「埼玉県指定史跡 伊奈氏屋敷跡保存活用計画」に基づき取り組んでいるところでございます。
【再質問:仲島】
歴史的跡地の活用の可能性について検討状況をお伺いします。
【答弁】答弁者:教育次長(生涯学習課)
歴史的跡地の活用につきましては、「埼玉県指定史跡 伊奈氏屋敷跡保存活用計画」に基づき、伊奈氏を核とした文化財との連携による観光・レクリエーションの拠点としての活用や、伊奈氏屋敷跡および伊
奈氏に関わる歴史文化を発信し、交流の場としての活用などに取り組んでいるところでございます。引き続き、伊奈氏屋敷跡保存活用計画に基づく活用の可能性について、検討を進めてまいります。
【答弁についての確認等:仲島】
多くの方が、伊奈氏屋敷跡などの文化財に集えるような取り組みを更に推進してください。
市街化調整区域は、豊かな自然や美しい景観を守るだけでなく、地域の歴史や文化を次の世代に受け継ぐ大切な役割があります。しかし、人口減少や少子高齢化、社会情勢の変化といった新たな課題に直面しているのも事実です。これからは、環境保全と暮らしやすさを両立させながら、町の未来を町民と一緒に描いていくことが求められます。そのためには、行政と町民が知恵を出し合い、協力する姿勢が欠かせません。子どもたちが夢を育み、「伊奈町で育ってよかった」と胸を張れる町にすること。そして、高齢者が安心して暮らせ、地域の文化や伝統が自然に次世代に受け渡される町を築くこと。これこそが、私たちに託された責務であり、未来への贈り物です。町長には、歴史や文化を大切にしながら、町民と協働し、教育環境の整備や防災・減災、安全なまちづくり、そして生活基盤の充実を進めていただきたいと思います。しかし、現状のままでは、人口減少や社会情勢の変化に十分対応できず、子どもたちの未来を守り抜くことはできません。市街化調整区域の特性を生かし、環境保全と持続可能な土地活用を両立させ、若い世代が「伊奈町で暮らしたい」と思える具体的な施策を示すことが急務です。子どもたちが夢を描き、誇れる町を築くために、今こそ現状を変える決断と行動が必要です。これを強く申し上げ、私の一般質問の結びとさせていただきます。



