行政視察報告 令和7年8月6日~7日①
- n42yuta930
- 8月14日
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令和7年8月6日から7日にかけて行政視察に行ってまいりました。 場所は、東京都町田市と愛知県一宮市です。
視察目的は下記の2点になります。
①町田市は、ゴミ焼却施設である「町田バイオエネルギーセンター」現地視察
②一宮市は、子育て支援事業の総合的取り組み(子育て支援センター現地視察)
先ずは、町田市と一宮市の概略からです。
・町田市について (町田市HP:https://www.city.machida.tokyo.jp/ )

東京都の南端にあり、半島のように神奈川県に突き出ています。
多摩丘陵の西部から中央部を占める位置に立地していて、東西22.3キロメートル、南北13.2キロメートル、面積は71.55平方キロメートルです。市制は1958年2月1日に施行され、東京都で9番目に生まれた都市です。2025年7月1日現在の人口は、43万457人。世帯数は21万136世帯。2025年一般会計当初予算は、1,930億7,541万円となっています。 (町田市HPより出典)
・一宮市について

平成17年4月1日、一宮市・尾西市・木曽川町が合併し、人口約37万人の新生「一宮市」が誕生しました。当地域は繊維産業を基盤として栄えてきました。市内には高速道路の9つのインターチェンジと一宮ジャンクションがあります。東西の大動脈である東名・名神高速道路と、太平洋側と日本海側をつなぐ東海北陸自動車道の結節点として重要な位置にあります。日本のほぼ中央に位置する愛知県の北西部にあり、名古屋市と岐阜市の中間にあって、木曽の清流と温和な気候、風土に恵まれた平坦地となっています。2025年8月1日現在の人口は、37万5286人。
世帯数は17万279世帯。2025年一般会計当初予算は、1億4,431万円となっています。
(一宮市HPより出典)
●町田市バイオエネルギーセンターについて
1.概要 同施設は、2022年1月に本格稼働を開始した最新のごみ処理施設であり、首都圏初のバイオガス化施設を併設する先進的な取り組みとして注目されています。
2.施設の基本情報


◎施設概要
所在地:東京都町田市下小山田町3160番地
敷地面積: 約77,000㎡
(広大な敷地を活用した余裕のある配置)
延床面積: 工場棟約17,000㎡
管理棟約5,200㎡
建物構造: 工場棟 地下2階・地上5階建て (煙突高さ100m)
ごみ処理に関する行政機関が入る「管理棟」は町田市が、ごみ処理を行う「熱回収施設」、「不燃・粗大ごみ処理施設」、「バイオガス化施設」は町田ハイトラスト株式会社が管理。
◎処理能力
熱回収施設(焼却施設): 258トン/日(129トン/日×2炉)
バイオガス化施設: 50トン/日不燃・粗大ごみ処理施設: 47トン/5時間
3.処理方法の特徴と技術革新
①ハイブリッド処理システム

・焼却施設(ストーカ式焼却炉)
可燃ごみを高温で燃焼処理を行い、熱回収により発電・電力供給を実現。最新の排ガス処理技術により環境負荷を最小化する。
・バイオガス化施設(乾式高温メタン発酵)
生ごみ等の有機性廃棄物からメタンガスを回収する。首都圏初の導入事例として注目され、循環型社会の構築に向けた先進的取り組みである。

②エネルギー回収の最大化
両施設からのエネルギー回収により、施設の電力自給率向上と余剰電力の売電による収益確保を図っています。また、発生するCO2を利用した施設園芸への活用実証も進められており、トリジェネレーションシステムの実用化を目指しています。
町田市バイオエネルギーセンターが生み出す CO2を施設園芸に有効活用 ▼町田市プレスリリース 2023 年 11 月 13 日 https://www.city.machida.tokyo.jp/shisei/koho/faxrelease/2023/202311.files/223.pdf
4.予算・建設費について
施設建設に関する詳細な予算情報については、町田市の財政資料における大規模インフラ投資として位置づけられています。バイオガス化施設という先進技術の導入により、従来の焼却施設と比較して初期投資は高額となっていますが、長期的なエネルギー回収効果とごみ処理の効率化により、投資回収効果が期待されます。
5.ランニングコストについて
①運営体制
熟練した技術者による24時間運転管理を行っている。また、定期的な設備点検・メンテナンス体制をとることで最新制御システムによる効率的運転を可能としている。
②コスト効率化の要因
・エネルギー回収による電力コスト削減
・バイオガス利用による燃料コスト低減
・処理効率向上によるごみ処理単価の最適化
以上3点を満たすことでコスト効率化を図っている。また、売電収入による運営費補填により経費低減に寄与している。
6.火災事故の経過と教訓
① 火災発生の概要

2022年6月11日、町田バイオエネルギーセンターの不燃・粗大ごみ処理施設において火災が発生しました。この事故は、新しい施設の安全管理体制に重要な課題を提起する事案となりました。
②原因分析
火災の主な要因として次のものが特定されています。
・不燃ごみ中に混入した可燃性物質の発火
・処理工程における摩擦熱の蓄積
・初期段階での発見・対応の遅れ

③ 安全対策の強化
事故を受けて、抜本的な安全対策が実施されています。
・監視体制の強化
24時間監視カメラの増設 温度センサーの追加配置 異常検知システムの高度化
・ 運用手順の見直し
ごみの受入れ基準の厳格化を徹底し、作業手順書の改訂をはじめとする緊急時対応マニュアルの整備の実施。
職員研修の徹底。注力されているのは、防火管理研修の定期実施、緊急時対応訓練の充実、設備に関する技術研修の強化が主なものである。

▼参考:会派グループが事前に町田市に行った事前質問 初期コストやランニングコスト含む
7. まとめ
町田バイオエネルギーセンターは、従来の焼却中心から資源循環型への転換を図る先進的な施設として多くの学ぶべき要素を有していると考えます。首都圏初のバイオガス化施設の導入は、他自治体のモデルケースとなる意義深い事業でもあります。(多くの自治体が行政視察を行っています。)
大規模な火災事故の経験は、安全管理体制の必要性を再構築するきっかけとなっている様に感じました。安全管理機器類は、コスト高で導入を躊躇しがちとなりますが、安全管理の重要性を改めて認識させるものでした。事故後の対応策は適切であると感じ、類似事故の防止に向けた体制整備が進んでいることを確認しています。初期のトラブルを乗り越え、現在は安定的な運営が行われており、持続可能な廃棄物処理モデルとしての価値を実証しつつあります。
運営状況の定期的な市民報告をはじめ安全管理状況の公開や費用対効果の継続的な検証は、透明性確保に繋がり住民との信頼関係構築に寄与するはずです。
ごみ処理施設は、近隣住民にとって迷惑施設と感じるかも知れません。周辺環境への影響最小化や地域住民との継続的な対話が、地域との共生に繋がり、住民生活に欠かせない施設として理解されるのでは無いでしょうか。 我々伊奈町においては、上尾・伊奈広域ごみ処理施設建設計画が進んでおります。その中で町においては様々な公共施設の老朽化対応が急務となっています。それらを考えるとそこまでごみ処理施設建設の優先順位は高いのでしょうか。また、伊奈町側が要望していた内容も反映されていません。これらの現実を直視すると限られた予算運営を継続するには、立ち止まる勇気も必要ではないかと施設見学をしながら考えました。(新庁舎建設や北部消防署建設を直近で控えている中、起債をしてまで将来への負担を増やす必要があるのか。また、総合センターも新庁舎建設後に解体し、中部ふれあい活動センター(仮称)の建設も2050年までに計画されている。)
町民の皆様におかれましては、最新のごみ処理技術とその可能性についてご理解いただき、あわせて、将来の伊奈町の在り方、今後のまちづくりに向けたご意見をお聞かせいただければ幸いです。
▼参考資料:上尾・伊奈広域ごみ処理基本計画 https://www.town.saitama-ina.lg.jp/cmsfiles/contents/0000008/8553/kihonkeikaku.pdf



