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一般質問で提起したカスハラ対策が               具体化しました

  • 9 分前
  • 読了時間: 11分

      ~職員の人権を守り、町民サービスを維持するために~ このページでは、令和6年12月定例会で行った一般質問のうち、カスタマーハラスメント対策について、質問の趣旨、町の答弁、その後に具体化した取組、そして今後確認すべき課題を整理します。

 一般質問で取り上げた主な論点は、次の5点です。

①職員に対するカスタマーハラスメントの実態

②対応マニュアルや組織的対応のあり方

③職員の相談支援体制

④職員のプライバシー保護と安全確保のための名札表記の見直し

⑤職員を守るためのカスタマーハラスメント対策基本方針の策定

 その後、令和8年6月に職員の名札表記が氏のみとなり、令和8年7月には伊奈町カスタマーハラスメント基本方針が策定・公表されました。

一般質問で提起した課題が、町の具体的な対応として前進したものと受け止めています。


職員が安心して働ける環境を整えることは、安定した  町民サービスの維持にもつながります。
職員が安心して働ける環境を整えることは、安定した  町民サービスの維持にもつながります。

1 質問の趣旨

 町民の皆さまから寄せられるご意見やご要望は、町政をより良くするために欠かせない大切な声です。行政に対する疑問、制度への不満、改善を求める声は、町政運営に緊張感を与え、より良い行政サービスにつながる重要なものです。

 一方で、人格を否定する言動、威圧的な発言、長時間にわたり業務を妨げる行為、不当な要求の繰り返しなどは、通常のご意見やご要望とは明確に区別して考える必要があります。

 職員も、公務員である前に一人の人間です。

職員の人格、尊厳、安全が守られなければ、安心して職務に専念することはできません。また、職員が安心して働ける環境は、町民の皆さまに提供される行政サービスの質にも直結します。

議会で確認すべき論点は、単なる苦情対応ではありません。

町民の正当な声を大切にしながら、職員の人権と安全を守り、安定した行政サービスを維持するために、町としてどのような体制を整えるのか。

この視点から、令和6年12月定例会において、カスタマーハラスメント対策を取り上げました。

2 職員に対するカスタマーハラスメントの実態

 質問では、職員に対するカスタマーハラスメントの実態について確認しました。

町からは、役場の窓口において、日常業務の中で強い口調で話をされる方がいること、状況によっては最初に対応した課の職員だけでなく、総務課の職員も一緒に対応することがあるとの答弁がありました。

 また、それでも感情が収まらない場合などには、警察に通報することも年に数件程度あるとの答弁がありました。

この答弁により、町においても、行き過ぎた言動や対応困難な事案が現実に発生していることが確認されました。もちろん、個別事案の詳細には慎重な配慮が必要です。しかし、職員の人格や尊厳を傷つけ、通常の業務遂行を妨げるような行為については、町として正面から向き合う必要があります。

3 組織的対応と対応マニュアルの必要性

 次に、行き過ぎた行為に対して、職員個人ではなく組織として対応する体制が整っているかを確認しました。

町からは、当時、カスタマーハラスメントに関する対応マニュアルは作成していないとの答弁がありました。

 一方で、前年度に全職員を対象としたカスタマーハラスメント防止研修を実施しており、その研修資料に対処方法が記載され、研修後も資料を活用しているとの説明がありました。

 研修の実施は重要です。しかし、研修資料の活用だけでは、現場で職員が迷ったときに、どの時点で上司へ報告するのか、どのように複数職員で対応するのか、どのような場合に対応を中止するのかなど、組織としての判断基準が十分に見えません。そのため、職員が一人で抱え込まない仕組みと、現場で共有できる明確な方針が必要であると考えました。


職員個人に抱え込ませず、組織として対応する  仕組みが重要です。
職員個人に抱え込ませず、組織として対応する  仕組みが重要です。

4 職員の相談支援体制

 質問では、職員が精神的な負担を抱えたり、疲弊したりすることがないよう、相談支援体制についても確認しました。

町からは、カスタマーハラスメントによるものも含め、職員の健康管理や精神的負担の軽減のため、産業医による職員健康相談や、総務課を窓口とした職員健康相談支援事業など、職員の状況に応じて相談できる体制を整えているとの答弁がありました。相談制度が存在することは重要です。

 ただし、制度があることと、職員が実際に相談しやすいことは同じではありません。

行き過ぎた言動への対応は、職員本人が一人で抱え込みやすい問題です。だからこそ、所属長、管理職、総務部門が早期に状況を把握し、組織として支える運用が必要です。


5 名札のフルネーム表記の見直し

 質問では、職員のプライバシー保護や安全確保の観点から、名札のフルネーム表記を見直すことができないかを取り上げました。窓口で住民の方に対応する際、担当者を明らかにすることには意味があります。一方で、フルネームが表示されることにより、SNSなどを通じて職員個人が特定され、私生活にまで影響が及ぶ危険性もあります。

 特に、窓口で直接対応する職員は、行政サービスの最前線に立っています。

その職員が、不当な要求や個人攻撃の対象になりやすい環境をそのままにしてよいのか。

この問題意識から、一般質問では、すでに名札表記を見直している複数自治体の事例も踏まえ、伊奈町としての検討を求めました。

町からは、担当者名を示す必要性と、カスタマーハラスメントのリスクの両面を考慮したうえで、フルネーム表記のメリット、デメリットを整理し、他自治体の効果を調査研究していくとの答弁がありました。

その後、町に確認したところ、令和8年6月1日の職員証更新にあわせて服務規程が見直され、名札の表記が氏のみとなったことを確認しました。

これは、一般質問で求めた職員のプライバシー保護と安全確保の観点が、具体的な見直しにつながったものです。

名札表記の見直しは、小さな変更に見えるかもしれません。

しかし、職員が個人攻撃や不当な特定の対象となるリスクを減らし、安心して窓口対応にあたるための重要な一歩です。


6 カスタマーハラスメント対策基本方針の策定

 質問では、職員を守るためのカスタマーハラスメント対策基本方針を打ち出す考えがあるかを確認しました。

方針を明確にすることにより、職員が理不尽な要求や威圧的な言動に対応しやすくなり、組織全体で毅然と対応する文化が醸成されます。

また、職員の心身の健康を守ることは、休職や退職リスクの低下、業務効率の維持、そして住民サービスの安定にもつながります。

 当時の町答弁では、カスタマーハラスメントに特化した対策方針の策定予定はないとのことでした。

一方で、業務上の過度なストレスは職員のメンタルヘルスに影響し、業務効率を低下させ、ひいては住民サービスの低下につながる可能性があるとの認識も示されました。

さらに再質問では、新たな方針の策定が難しいのであれば、既存の不当要求行為対策に関する規程を改定する形での対応を検討できないかを確認しました。

 町からは、国の動向を注視しながら、国が示す予定の指針の内容を参考に、カスタマーハラスメントに特化した具体的な対策を規定する方向で検討していくとの答弁がありました。

その後、令和8年7月に、伊奈町カスタマーハラスメント基本方針が策定され、町公式ホームページで公表されました。

当初は策定予定なしとの答弁でしたが、その後、町として明確な方針が示されたことは、大きな前進です。


7 伊奈町カスタマーハラスメント基本方針の内容

 伊奈町の基本方針では、まず、町民の皆さまからの町政運営に対するご意見やご要望を、より質の高い行政サービスを提供するための貴重な機会として受け止め、誠実かつ公平・公正に対応することが示されています。

この点は非常に重要です。カスタマーハラスメント対策は、町民の皆さまの正当なご意見やご要望を制限するものではありません。

そのうえで、基本方針では、職員の人格を否定する言動や社会通念上不相当な要求などは、職員の心身に悪影響を及ぼし、職場環境を悪化させるだけでなく、公務の円滑な遂行を妨げ、他の町民の皆さまへの行政サービスの低下につながる重大な問題であると整理しています。

また、対応方針として、次の四つの柱が示されました。

一つ目は、組織的な対応です。

カスタマーハラスメントが疑われる場合は、職員個人で抱え込まず、所属長等に速やかに報告し、組織として対応することが示されました。

二つ目は、毅然とした対応です。

社会通念上不相当な要求や言動があった場合には、内容に応じて注意、対応の中止、退去の要請等を行うことが示されました。

三つ目は、関係機関との連携です。

暴力行為や脅迫行為など、職員の安全が脅かされるおそれがある場合には、警察や弁護士などの関係機関と連携し、適切に対応することが示されました。

四つ目は、記録の作成と共有です。

カスタマーハラスメントに該当する事案については、対応経過を記録し、組織内で情報共有を行い、再発防止と適切な対応につなげることが示されました。

 これらは、一般質問で求めてきた、一人で抱え込ませない組織的対応、現場で迷わないための基準、毅然とした対応、関係機関との連携、再発防止のための情報共有に応える内容です。

8 国・県の動きとの関係

 この取組は、伊奈町だけの課題ではありません。

国においても、カスタマーハラスメント防止措置が事業主の義務とされ、令和8年10月1日から施行されます。

また、埼玉県では、埼玉県カスタマーハラスメント防止条例が制定され、令和8年7月1日に施行されました。埼玉県は、誰もが安心して働くことができる就業環境や、安定した事業活動を継続できる環境、豊かな消費生活を実現するため、関係者の責務を定める条例を制定したとしています。

伊奈町が基本方針を策定したことは、こうした国や県の流れにも沿ったものであり、職員の安全と健康、そして適正な行政サービスの維持に向けた必要な対応であると考えます。

9 議員としての考え

 町民の声を行政に届けることは、議員として最も大切な役割の一つです。

行政に対する疑問、不満、改善を求める声は、町政をより良くするために必要です。職員にとって耳の痛い意見であっても、町民の生活実感に基づくものであれば、真摯に受け止めなければなりません。

しかし、それは、職員の人格や尊厳を傷つけてよいという意味ではありません。

町民の声を大切にすることと、職員の人権を守ることは、どちらか一方を選ぶ話ではありません。

両立させなければならない町政上の重要課題です。職員が安心して職務に専念できる環境を整えることは、職員のためだけではありません。

住民サービスの質を守るためです。

公平で安定した窓口対応を守るためです。

町民の皆さまが安心して役場を利用できる環境を守るためです。

私は、職員を守ることは、町民サービスを守ることにつながると考えています。

10 今後の確認事項と提言

 今回、一般質問で提起してきた課題は、伊奈町カスタマーハラスメント基本方針の策定と、名札表記の見直しという形で具体化しました。

ただし、方針は策定して終わりではありません。

大切なのは、現場で機能することです。

今後は、主に次の点を確認してまいります。

職員が一人で抱え込まず、早期に相談・報告できる運用になっているか。

正当なご意見・ご要望とカスタマーハラスメントの違いが、町民の皆さまにも分かりやすく周知されているか。

対応経過の記録と情報共有が、再発防止に活かされているか。

名札表記の見直しが、職員の安全確保とプライバシー保護につながっているか。

町民と職員が互いに尊重し合える行政運営を実現するためには、制度を作るだけでなく、その制度を現場に根づかせることが必要です。

 今後も議会の場を通じて、実効性のある取組となっているかを確認し、必要に応じて提言を行ってまいります。

11 結びに

職員にも、人格があり、尊厳があり、安心して働く権利があります。

同時に、町民の皆さまにも、行政に対して意見を述べ、改善を求める権利があります。

この二つは、対立するものではありません。

町民の声を大切にする伊奈町。

職員の人権と尊厳も大切にする伊奈町。

この両方があってこそ、健全で信頼される行政運営が実現できると考えています。

誰もが安心して利用できる役場。

職員が安心して働ける職場。

そして、安定した町民サービスが提供される行政運営。

その実現に向けて、今後も現場の声を丁寧に受け止め、議会の場を通じて必要な確認と提言を続けてまいります。

参考・関連リンク

伊奈町カスタマーハラスメント基本方針を策定しました https://www.town.saitama-ina.lg.jp/0000009653.html

伊奈町議会会議録検索システム https://ssp.kaigiroku.net/tenant/inamachi/pg/index.html

伊奈町議会令和6年第4回定例会 一般質問通告一覧 https://inamachi.gsl-service.net/doc/2019122700130/file_contents/2024-12Tshitsumon.pdf

厚生労働省職場におけるハラスメントの防止のためにhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html

埼玉県カスタマーハラスメント防止対策https://www.pref.saitama.lg.jp/a0809/customerharassment/bousitaisaku.html


仲島ゆうた 日本維新の会・伊奈町議会議員

©2023 仲島ゆうた 日本維新の会・伊奈町議会議員

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