ふるさと納税と伊奈町の未来 その①
- n42yuta930
- 11月18日
- 読了時間: 8分
~個人版から企業版まで、町の魅力を全国へ届ける新戦略~ 皆さまはご存じでしょうか。 いま伊奈町では、ふるさと納税によって本来この町に入るはずだった税金が、静かに、しかし確実に流れ出ています。 その金額は年々増え続け、気づかないうちに私たちの福祉、子育て、道路、公園など、日々の暮らしを支える大切な財源が削られているのです。
国の補助があるとはいえ、赤字は毎年続き、決して安心できる状況ではありません。しかし、この現実が町民の皆さまに十分伝わる機会はほとんどありません。私は、このままでは伊奈町の未来が危うくなると強い危機感を抱いています。
だからこそ、まずは“事実”を知っていただきたいのです。そして、この町を守り、より良い未来へつなげるために 一緒に考え、一緒に改善していく必要があります。
1.ふるさと納税とは
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、ふるさと納税は「応援したい自治体に寄附をすると、住民税や所得税が控除される制度」です。 寄附先は全国どこでも選べます。寄附の「お礼の品」も多いため、広く活用されている仕組みです。
しかし、この制度は住んでいる自治体への税収に影響するという、少し複雑な側面も持っています。
町民の皆さまが他自治体に寄附すると、翌年の 住民税の一部が、その寄附先へ移転 します。
その結果、伊奈町に入るはずだった税収が減る(=税収流出) という構造になっています。自治体側から見るとこれが非常に大きな課題となっています。
ふるさと納税について、総務省は次のように説明しています。 生まれ育ったふるさとや、応援したい自治体を自ら選び、寄附を通じて地域を支援する仕組みです。」(引用:総務省「よくわかる ふるさと納税」https://www.soumu.go.jp/iken/kanko.html)
自治体においては、税収減と言った面もあります。しかし、ふるさと納税は、「地域を応援する仕組み」であり、同時に「地域を知ってもらう仕組み」と言った重要な部分も担っている制度でもあります。 残念ながら、現段階においては、基本的な部分が現在の伊奈町には不足しています。 2.伊奈町の現状(議員として強調したい点)
~ 伊奈町のふるさと納税 ― 数字で見る“税収流出”~
ふるさと納税では「町外へ寄附した控除額」が「町への寄附額」を上回ると税収が減ります。

令和2年度の税収流出:約3,256万円
令和6年度の税収流出:約9,526万円
➡ 僅か5年間で流出額は約3倍に拡大していることは、上記の表からも読み取れます。
これは自治体にとっては、学校整備、道路保全、子育て支援、高齢者施策などに使える財源がその分だけ減ってしまうことを意味します。この数字は非常に重く受け止めなければなりません。
●「国が税金を補てんしてくれるから大丈夫?」 → 実はそうではありません。 国(地方交付税)である程度は補てんされますが、全額ではありません。そのため、近年は毎年、数百万円~数千万円規模の実質的な税収減が続いています。(実質収入源の欄) つまり、伊奈町の財政に確実にダメージが発生しています。放置できない構造的課題であると感じています。
3.議員としての立場から
ふるさと納税の本来の理念は、「生まれ故郷や応援したい自治体に思いを寄せる制度」です。しかし、現在は返礼品競争が強く、地方の財源格差という新たな課題を生んでいます。
だからこそ私は、
伊奈町の返礼品戦略の強化(返礼品戦略の再構築)
伊奈町への寄附を増やすための政策
税収流出の抑制対策
寄附金の使い道の透明化と発信
町民の皆さまへの分かりやすい情報提供
将来に向けた戦略的な取り組み
など積極的な取り組みが必要であると考えています。
伊奈町としての課題について 伊奈町としての課題は、大きく2つだと考えています。 ①「税収流出が増え続けている」という構造的な問題 町の予算に直接響き、 将来の子育て支援やまちづくりの財源確保にも影響が出ます。 ②伊奈町への寄附が全国的に見て少ない 返礼品の認知度・魅力・情報発信・戦略性など、 改善できる余地がまだまだあると考えています。 【1】返礼品の時代は “量” から “質” へ
制度開始当初は、「返礼品の数」や「返礼割合の低さ」が選ばれる要因とされていました。 しかし、現在は明確に時代が変わりました。
◎ 今は “質の時代”となっています。 全国で寄附額を伸ばしている自治体は、
・地域独自の高付加価値
・ストーリー性
・ブランド性
・プロ品質の写真・文章
・“体験型返礼品(コト消費)” の強化を徹底しています。更に(トキ消費)へ進化をしています。 ★返礼品数を並べるだけの時代は終わりを向かえており、 返礼割合の低さは “魅力不足” と見られる 場合もあります。更に、 質・体験・世界観が選ばれる時代へ移行していることに知らなければなりません。 【2】伊奈町の返礼品の現状
伊奈町の 登録返礼品数は、約 300品前後(例:309件)あります。
◎ 伊奈町での人気の返礼品としては、
①自転車(グリーンシティクラシックなど)
②アウトドア用品
③ローズシロップ(バラの町としての強み)
④日用品・雑貨 本当にこの返礼品内容を継続していくべきなのでしょうか。
※ 全国で急増する 体験型返礼品はほぼゼロ が現状。他自治体の状況を研究しているとは言い難い状況です。

伊奈町ふるさと納税関係の詳細
【3】伊奈町が伸び悩む“本質的な理由” ① 広告費0円は”節約”ではなく、重大な機会損失
全国トップ自治体は、寄附額の 5〜15%を投資。→ 寄附額を数倍〜数十倍に伸ばす成功例が多数。
一方、伊奈町は広告費「ほぼゼロ」。競争に参加できていない現状があります。
② 返礼品の「量」「返礼割合」で勝負する時代は終わった
返礼割合が低い=魅力が薄いと判断されるケースも増加。 全国は「質」「体験」「ストーリー」で勝負しています。 「返礼割合が抑えられている」から良いと評価をしている方もいますが、それは過去の話です。
③ 体験型返礼品が欠如 全国で最も成長しているジャンルが未整備。 これは、現状に満足しており、税収増を図るためのトレ ンドを読むことに欠落しています。 【4】ふるさと納税が増える時期 ~戦略をもって~
寄附は一年中行えますが、「増える時期」が明確に存在します。
◎ 寄附が増える主な時期
①12月(年間の約4割が集中) → 税控除を確実にするため年末に駆け込み (引用:RIETI「ふるさと納税の利用行動分析」 https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/konishi-yoko/06.html)
②9〜10月 → ポータルサイトキャンペーン・返礼品刷新時期。
③4〜6月(年度初め) → 新返礼品が多く、検討しやすい時期。
▶ 「ふるさと納税」には、戦略性が重要である時代になっています。
特に12月前の広報と刷新が不可欠
9〜10月に“話題づくり”を行う自治体が増加
年間の寄附額は「時期戦略」で大きく変わるのです。このポイントを逃してはなりません。 【5】ふるさと納税は「伊奈町を全国へ伝えるツール」
ふるさと納税は財源確保だけでなく、以下の様な効果も期待できます。
・ 伊奈町という“名前と魅力”を全国へ届ける
・関係人口(伊奈町のファン)を生む
・将来の来訪・定住・移住のきっかけになる
・町内事業者の新たな販路となる
返礼品は、まさに 「伊奈町の名刺」 として全国へ送られています。 【6】GCF(クラウドファンディング型返礼品)という選択肢
全国で増えている「ガバメントクラウドファンディング(GCF)」は、地域のプロジェクトに共感した
寄附を集める仕組みです。
◎ GCFのメリット
・町の挑戦を全国へ発信できる
・新商品開発・地域事業の支援につながる
・応援者(関係人口)の増加
・企業連携への発展
伊奈町でも、「バラ」「学園都市」「若いまち」を活かしたプロジェクトに展開可能です。 【7】企業版ふるさと納税 ~ 伊奈町の新たな柱~
個人版ふるさと納税が、一歩進んだ形として企業版ふるさと納税も制度化されています。 この部分も上手く活用すれば、税収が大きく伸びる可能性もあります。 しかし、伊奈町は、この部分でも後れを取っています。もっと制度の研究をする必要があることが如実に表れてしまっています。 企業版ふるさと納税とは、企業が自治体の地方創生事業に寄附すると、最大約9割の税優遇が受けられる制度です。 ・引用:埼玉県「企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)」
https://sumunara-saitama.pref.saitama.lg.jp/for_company/for_company-furusato/ ・引用:埼玉県 企業版ふるさと納税 寄附実績(令和6年度) https://sumunara-saitama.pref.saitama.lg.jp/wp-content/uploads/for_company/kihu_jissekiR6.pdf ■ 伊奈町の実績(令和6年度)➡ 340,000円(公表分)
まだ小規模ですが、今後大きく伸ばせる分野です。まだまだ全国的に見ても浸透されていない分野です。特に企業等々の関係性が求められるので、意識的に首長である町長が積極的に取り組むべきであると考えます。 【8】総括 個人版 × クラウドファンディング型返礼品 × 企業版の三本柱で未来をつくる
ふるさと納税は、「財源」+「伊奈町のPR」+「関係人口づくり」の三要素が揃う制度です。 この部分には、伊奈町の未来が託されていると言っても過言ではないと考えています。
今後の戦略としては、
・数ではなく“質”の返礼品
・体験型返礼品の導入
・時期を見据えた広報
・クラウドファンディング型返礼品Fによる町の挑戦の発信
・企業版ふるさと納税による企業連携を進めていくことが不可欠です。特に、「関係人口づくり」が 鍵になると考えています。 ふるさと納税は「町民の選択が町の財源に直結する時代」を私たちに突きつけています。
町民の皆さまの税金が将来の伊奈町のために最大限活かされる仕組みづくりに全力で取り組む必要が あると考えています。
ふるさと納税の寄付先の選択は自由です。他市の魅力的な返礼品を楽しむことも、制度の趣旨として 否定されるものではありません。
ただ、「住んでいる町をもう少し応援したい。」と言うお気持ちが、伊奈町への寄附が町の財源を支え、 子どもたちの未来、生活の安心、安全の向上につながることも大切な一面でもあります。



