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行政視察報告書           令和8年2月4日~5日②

  • n42yuta930
  • 11 時間前
  • 読了時間: 5分

~津軽石教授から学ぶ 政策法務と議員提案条例~

今回の行政視察では、津軽石(関東学院大学)教授から、政策法務と議員提案条例を軸に、これからの地方議会が果たすべき役割について講義を受講しました。本講義は、先進事例の紹介にとどまらず、伊奈町議会が今後どのように機能を高め、町民の皆さまの暮らしに寄与していくべきかを考えるための重要な学びとなりました。


本ページは、ブログ(https://go2senkyo.com/seijika/185832)でご報告した行政視察の概要を踏まえ、講義の内容や具体的な事例、質疑応答、そして議員としての受け止めを、より詳しく整理したものです。議会改革や議員提案条例に関心をお持ちの町民の皆さまにとって、今後の伊奈町議会の方向性を知る一助となれば幸いです。 ●本題

 講義で最初に示された重要な視点は、政策法務という考え方です。国の法律だけでは、地域ごとに異なる課題のスピードや多様性に十分対応できない場面が増えています。こうした中で、自治体が条例という法的手段を用い、地域の実情に即したルールを整備することの重要性が高まっています。高度成長期の公害や都市問題に対し、自治体が独自条例で対応してきた歴史がその原点であり、地方分権改革以降、この考え方は全国に定着してきました。議員提案条例は、その政策法務を議会が主体的に実行するための手段です。

 次に、ポストコロナ時代の議会課題として、デジタル化やAIへの対応が挙げられました。行政では電子申請やメール決裁が進む一方、議会の対応には自治体ごとの差があります。コロナ禍を契機に、オンライン委員会や遠隔参加を可能とする制度整備を進めた自治体もあり、議会においても、効率性と非常時の継続性を意識した改革が求められています。

あわせて、多様な人材が議会に参画できる環境整備の重要性も強調されました。女性や若年層の参画不足、議員のなり手不足は全国共通の課題です。夜間や休日開催への配慮、ハラスメント対策、報酬や政務活動費の在り方の見直しなど、制度面と情報発信の両面からの取組が不可欠とされています。デジタル化は、議会情報を町民に開き、参加の間口を広げる有効な手段でもあります。

また、住民の役割が変化している点も大きなテーマでした。デジタル化の進展により、住民は情報を受け取るだけでなく、自ら調べ、判断し、提案する存在へと変わりつつあります。議会には、行政を監視する役割に加え、住民の声を整理し、政策の選択肢として提示する提案型の役割が求められています。議員はその中で、住民と行政をつなぐ橋渡し役を担います。

 議員提案条例の意義については、縦割り行政を乗り越えた事例などを通じて示されました。執行部だけでは対応が難しい分野において、議会が主体となって条例を制定することで、課題解決が進むケースがあります。議員提案条例は、議会が地域の現実を踏まえて政策を形にするための有効な手段です。

さらに、条例づくりのプロセスそのものが議会改革につながる点も重要な指摘でした。立法事実の整理、制度設計、会派間調整、住民意見の聴取、委員会審議を重ねることで、議会の審議力や対話力が磨かれていきます。条例制定と議会改革は車の両輪であり、どちらか一方だけでは前に進まないという考え方は、伊奈町議会にとっても大きな示唆です。 ●津軽石教授への質疑

ここからは、我々会派グループが実際に行った質問と、それに対する津軽石教授の回答を紹介します。講義内容を、伊奈町議会の現実に引き寄せて考える上で、特に参考になった部分です。

一つ目の質問は、議員提案条例で議会改革を進めたいが、前例がなく何から手をつければよいか、という点でした。これに対し教授は、まずは総合計画を議会の議決事項とするなど、比較的着手しやすい条例を一本作ってみることが重要であり、そのプロセス自体が議会改革につながると回答されました。また、事務局の協力が得られない場合には、地方自治法に基づく専門的知見の活用制度を使い、大学など外部の力を借りる方法も示されました。

二つ目は、エアコン設置など個別政策を実現したいが反発もある場合、どう進めるべきかという質問です。教授は、個々の議員が動くよりも、議会全体として意見書決議案を提出し、執行部に措置を求める方が効果的であり、議会の公式な意思として示すことで、行政も対応せざるを得なくなると述べました。

三つ目は、議員報酬が長年上がらず、なり手不足が懸念される点についてです。これに対しては、町長など他の特別職の報酬改定のタイミングと合わせる方法や、まず政務活動費の充実から検討する方法が示されました。その際、近隣自治体との比較など客観的データを示し、町民への説明責任を果たすことが不可欠であると強調されました。

四つ目は、議会基本条例を作ったものの形骸化している場合の対応です。教授は、条例は作って終わりではなく、実際に使っていくことが重要であり、理念を実現するために具体的な目標、例えば議員提案条例の制定を掲げ、行動に移す必要があると指摘されました。

そのほか、用語の使い分けが混乱している問題や、前例がないことを理由に条例提案を断られるケースについても、議員には条例提案権があり、外部の専門家の力を活用することで道は開けるという助言がありました。

●まとめ これらの質疑応答を通じ、議員提案条例は特別な自治体だけの取組ではなく、段階を踏めば伊奈町議会でも十分に取り組めるものであると、現実的に捉えることができました。

今回の講義を通じ、伊奈町議会としては、まず行政監視機能を高める条例など、比較的着手しやすい分野から議員提案に取り組むことが現実的であると感じています。外部の専門的知見も活用しながら、立法事実を丁寧に積み上げ、町民に分かりやすい形で制度化していくことが重要です。

行政視察で得た学びを今後の議会活動に具体的に生かし、町民の皆さまにとって身近で、信頼される議会となるよう、政策提案機能の強化に取り組んでいきます。

仲島ゆうた 日本維新の会・伊奈町議会議員

©2023 仲島ゆうた 日本維新の会・伊奈町議会議員

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